小売り自由化を妨げた要因
2000年に特別高圧電力市場が自由化され、2005年に高圧電力市場が自由化されてから、今や10年以上経過しています。
一般家庭向けの電力小売り全面自由化は2016年4月に予定されていますが、何故こんなにも空白の期間が出来てしまったのでしょうか?そこには、大きく分けて3つの要因が考えられます。
国による規制
最も大きな要因と考えられるのが電気事業法という法律です。
国に指定された10社のみ、一般家庭への電気供給が可能となります。
この規制によって、国に指定された上記の10社以外は、電力を供給することを制限されていました。
地域ごとの大手電力会社によって、電力市場は実質的な独占状態となっていたのです。
この規制が無くなることにより、新電力と呼ばれる事業者が一般家庭向けに自由な価格設定で電力を販売することが可能になります。
大手電力会社の反対
小売り部門の自由化が長年議論されながらも実現に至らなかったのには地域独占状態を敷いていた大手電力会社の反対があったからです。
しかし、この状況を一変させる出来事が起こりました。東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故です。
この事故によって大手電力会社の中でも圧倒的な売上高を誇っていた東京電力が経営破綻の危機に瀕し、政府の援助を受け実質的な国有化が行われました。
これによって電力会社と政府の力関係が逆転。更に電力自由化を推進せんとする安倍内閣の誕生により小売り部門の自由化が推し進められることとなります。
新規参入の難しさ
電力を供給するためには電気が通るパイプが必要です。新規参入者はそのパイプを持っていません。そこで重要となってくるのが電気を作る「発電事業」と、電気を送る「送配電事業」を分離する発送電分離です。
既に用意されてある送配電網を使って自由に電気の供給が行えるようになれば新規参入者も増えていきます。
そのため、電力自由化にあたっては規制の撤廃だけではなく新規参入者が平等に送配電網を利用できるための発送電分離が求められているのです。
発送電分離は、組織改革を求められる大手電力会社に配慮され2020年に実施が予定されています。
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