卵を電子レンジにかける時は気をつけるように!!という話しは皆さん一度は耳にしたことがあると思います。
間違ったやり方で電子レンジにかけると爆発したりトラブルになるのはは卵だけではありません!!
電子レンジは食材を入れてスイッチを操作すれば、火を使わずとも調理ができ、大変便利な家電です。
現代の生活にはなくてはならないものと言えるでしょう。しかし電子レンジには他の調理家電や調理器具と異なる特徴があるため、注意が必要な食品が多数あり、また様々な事故も起きています。
中にはやけどを負ったという事例もあります。
今回は事故例の一つ、電子レンジ庫内での「食材の爆発」を例に取り上げます。
まずはどどうして爆発が起きるのかを理解した上で、爆発しないための考え方、注意すべきとされている食材とその対処法を考えていきましょう。
爆発に注意すべき食材の例
電子レンジの使用にあたり、一般的に注意すべきとされている食品は以下の通りです。
卵、栗、ぎんなん(殻付き)、ウインナーソーセージ、いか、丸魚、なす等があげられます。
特にゆで卵や目玉焼き、うずら卵の爆発など、卵に絡む事故の報告が多くなっております。
それではなぜ、これらの食材が爆発を起こしてしますのか?その理由と仕組み、対策についてお話しさせていただきます。
爆発する理由と、爆発までの流れ!
まずは電子レンジにかけられた食材の状態から爆発までの流れと、もし爆発してしまった時の対処方から学びましょう。
1.食材の水分は熱が加えられるとどうなるか?
水に熱を加えていくと、約100℃で水蒸気に変わりこの時、体積が1700倍になります。
(高原等、標高が高い場所ではこの温度は低くなります)。
もっとも水蒸気は気体ですから圧縮することができ、そのため適当な容器に押し込めておくことはできます。
しかしその代わり、内部の圧力は高くなります。
鍋ややかんのふたに穴が開いているのは、水から1700倍に膨れ上がった水蒸気を逃がすための穴で、これによってふたが水蒸気で飛ばされる等の事故を防いでいます。
2.爆発するまでの流れ
電子レンジによって食材が加熱される時はオーブン等による加熱と異なり、食材の水分の振動によって温度が上がります。
つまり食材の内部から加熱されるわけです。食材の水分は100℃になると水蒸気に変わります。
多くの食材には、水蒸気が抜けることができるだけの隙間があります。
そのために食材が持つ水分が水蒸気になっても隙間から抜け出ることができ、電子レンジ庫内に拡散していきます。
また食材に対して電子レンジ庫内の空間は十分大きいですから、食材から水蒸気が少しずつ排出されている場合はドアが開いたり電子レンジ内部が破損する等の力にはならず、安全です。
しかし食材の外側が膜や殻で覆われている食品は、食材の持つ水分が水蒸気になっても外へ逃げることができません。
このため、食材の内部で圧力が上がり続けます。そして食材の膜や殻を破壊するだけの圧力に達した時、一気に水蒸気が食材の外に出るとともに、この力で食材も四方八方へ飛び散ります。
また電子レンジから取り出してもすぐに圧力は下がりませんので、取り出した後でも爆発する危険性があります。卵の場合は天井まで飛び散った、やけどをしたという報告もあります。
3.爆発後におこることと必要な処置
まず負傷者がいないか確認しましょう。やけど等負傷した場合は、水で冷やす等、傷の手当をする必要があります。状況により医療機関での治療が必要になる場合もあります。
食材が電子レンジ内部で爆発した後は、庫内各所に食材がこびりつきます。このまま使い続けると臭いや火災の原因となりますので、速やかに拭き取る必要があります。
また電子レンジから出した後に爆発した場合は、家の中の飛び散った場所を清掃する必要があります。
場合によっては、電子レンジのガラスや部品が破損することがあります。この場合は修理や買い替えが必要です。
対処の基本的な考え方
爆発が起きる理由は、食材内部で発生した水蒸気が皮や膜、殻などで邪魔され外に出ていけず、内部で圧力が高まるためです。
ということは水蒸気が発生する都度、食材の外に出ていけるようにすれば内部で水蒸気がたまることもなく、爆発も起きなくなる訳です。従って、殻のある食材は殻を取り、皮や膜がある食材は切れ目や穴を開けることで爆発を防げます。
注意が必要なのは、人間にとっては何でもないくらい薄い皮を持つウィンナーソーセージや卵の黄身の膜、魚の皮なども、水蒸気が出ていくためには壁になることです。薄くても皮があれば、切れ目を入れなければなりません。
食材毎の対処法
1.膜や皮がある食材
ウィンナーソーセージやいか、丸魚、なす、オクラ等が該当します。
このような食材は、電子レンジに入れる前に膜や皮の部分に数か所切れ目を入れて、水蒸気の脱出口を作ってあげましょう。小さい食材であれば、穴を数か所開けることでもかまいません。
2.殻つきの食材
栗やぎんなん等の殻付きの食材は、殻から出して加熱する必要があります。
殻のまま加熱すると殻の内部で水蒸気の圧力が高まり、殻が破裂し危険です。電子レンジに入れる前に膜や皮の部分に数か所切れ目を入れて、水蒸気の脱出口を作ってあげましょう。
3.卵やうずら卵の場合
卵の場合、卵焼きやスクランブルエッグ等、黄身と白身を混ぜてしまう料理の場合は問題ありません。
しかし、目玉焼きやゆで卵のような料理には注意が必要です。
卵を割ると黄身が盛り上がりますが、この黄身の上部に薄い膜があります。
この膜で形を保っているといえますが、同時に電子レンジで調理した場合に爆発の原因となる膜でもあります。
目玉焼きを作る際、黄身に穴を開けたり再加熱をする場合でも爆発することがあります。フライパン等、他の方法で調理しましょう。
同じ理由でゆで卵でも爆発の報告があります。
ゆで卵は黄身に穴を開ける訳にはいきませんので、作る際には電子レンジは使用できません。万が一殻付きのまま電子レンジに入れた場合は、爆発の際に殻も飛び散ります。
但し、一度作ったゆで卵を温める場合は、中央でカットし黄身が見えるようにすれば電子レンジを使うことができます。
まとめ
以上の通り説明してきましたが、こんな食材が電子レンジでの調理には気をつけないといけないの?
ということを感じられた方もおられるのではないでしょうか。
電子レンジでの爆発を防ぐために心掛けるべき対応は、以下の3点となります。
・殻は外す
・膜や皮は切れ目や穴を開ける(薄い膜や皮が無いかどうか要確認!
・膜や皮に切れ目や穴を開けられないものは、電子レンジでの調理は不可
電子レンジで爆発を防ぐ上での注意点は、この3点に集約されます。
日々新しい食材も出てきていますが、その場合でも上記3点を頭に置き、どのように対応すればよいか考えることが事故防止につながります。併せて、取扱説明書をしっかり確認することも大切です。
電子レンジは簡単に食材を温められる便利な家電であり、注意点を守って使えば安全に使える家電です。ポイントをしっかり押さえ、事故を起こさず便利な生活を送りましょう。
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画像引用及び参考
東京都生活文化局消費生活部「電子レンジの安全な使用に関する調査報告書」:
日本電機工業会「オーブンレンジ・電子レンジの安全・正しい使い方」:
一般社団法人 日本電機工業会「オーブンレンジ・電子レンジのよくある質問」:
パナソニック「電子レンジNE-EH229取扱説明書」:
三菱電機「電子レンジであたためてはいけないもの」:
ライオン株式会社 Lidea「「電子レンジ」の上手な使い方」:
消費者庁・国民生活センター 事故情報データバンクシステム
「目玉焼き器, 電子レンジ, 鶏卵 事故情報ID:0000287857」:
「電子レンジで使用する目玉焼き器, 電子レンジ, 鶏卵 事故情報ID:0000121195」:
「おでん, 鶏卵, 電子レンジ類 事故情報ID:0000281071」:
「中華丼, 他の卵類, 電子レンジ類 事故情報ID:0000256561」