概要
スマートコミュニティは、ICT(情報通信技術)の活用によってさまざまな機能を備えた、利便性の高い、住みよい地域、町を意味します。しかし、エネルギー分野でこの言葉が使われる場合は、ICTを活用したエネルギー・ネットワーク社会という意味です。
日本で注目されたきっかけ
日本でエネルギー分野におけるスマートコミュニティが広がったのは、オバマ大統領が提唱したスマートグリッドづくりがきっかけです。スマートグリッドは次世代電力ネットワークと呼ばれ、ICTを活用した電力供給者と需要者との双方向の電力ネットワーク社会を指します。
スマートコミュニティの実現に向けた取り組み
米国の場合は、新しい電力ネットワークづくりをめざしたものですが、日本では、より幅広く、電力、ガス、熱などのエネルギー源や、その需要家全体をネットワーク化し、双方向の情報、通信のやりとりによって、エネルギー融通を行ったり、電力消費の平準化によって、エネルギーの利用効率化を図ることに大きなねらいがあります。日本のエネルギーとりわけ電力は、従来は、電力会社の発電所から、需要家に電気が送られるという一方向の供給システムがとられていました。しかし、太陽光発電をはじめ、コージェネレーションなどの燃料電池、小水力発電、バイオマス発電など近年、さまざまな分散型電源が登場してきました。これらの分散型電源は、従来の大規模火力発電や原子力発電などの集中型電源ではなく、需要家に近接して立地するケースが多く、住宅用太陽光発電のように、電力需要家が電力供給者になるケースも増えています。加えて、電力の自由化が進展し、太陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギー事業者が各地に立地するようになると、電力、エネルギーの利用の効率化を図るためには、エネルギー融通のための事業者のネットワーク化を進めなければなりません。事業者だけでなく、需要家を含めたエネルギーの供給、需要の双方をネットワークで結ぶことによって、需要に応じた最適な供給を確保できるようになります。日本では、経済産業省が中心になって、そうしたスマートコミュニティづくりに向けて、これまで各地で実証試験が行われてきました。その成果を踏まえて、今後、スマートコミュニティづくりの輪はさらに広がる見通しとなっています。