絶縁体

電気を安全に使うには、絶縁という技術が大変重要です。電気設備を使う場合、電気がよく流れなければならない場所と、電気が流れてはいけない場所があります。

絶縁は、「電気が通じてよいところ」と「電気が通じてはいけないところ」の間に電気を通さない材料（絶縁体）を挿入し、事故を防ぎます。

私たちが生活の中で電気を使用していても、身体で電気を感じることはありません。これは、空気が非常によい絶縁物であるためなのです。しかし、空気といえどもある電圧以上に高くなると絶縁が破壊されてしまうことがあります。雷の放電（落雷）がそれにあたります。

電気機器は外部に対しては絶縁されていますが、絶縁が劣化したり、破壊されたりすると事故が発生し、人体を損傷したりして危険です。絶縁の技術や診断、監視は電力を扱ったり保守する上で大切な分野なのです。

 絶縁材料とはどんなもの

電気の設備で使われる材料には、電気が流れやすい導体と、電気を流さない絶縁体、そして導体と絶縁体の中間の性質をもつ半導体、さらに電気の流れを制限する抵抗体に分類することができます。

絶縁体としての働きをする材料は、19世紀初め頃には木、ガラス、紙、硬質ゴムなどが用いられていました。当時は扱う電圧が低かったのでこのような材料でもよかったのです。しかし、技術の進歩にともない電気機器も大型になり、電圧も高くなると、ポリエチレンやシリコン樹脂、テフロンなどが開発されて、絶縁に合成樹脂が大量に使われるようになりました。

そして現在の絶縁材料には、気体としては窒素や炭酸ガス、六フッ化硫黄（地球温暖化ガスの一種のため使用制限がある）などが、液体では一般に鉱物油の絶縁油が、固体では雲母やガラス、磁器（セラミック）などが用いられています。

 

電気を安全に使うための法律

電気のもっている特殊な性質から、電気工事の欠陥とか電気機械器具の不良など、人命や財産に打撃を与える事故が生じては大変です。そのため、発電所から需要家に至るまで、電気を安全でしかも適切に利用するために各種の法規が定められています。

電気に関する法規もきめ細かく、社会の動きに応じて制定、改正が行われ、現在の姿に至っているのですが、電気の使用にあたって、電気法規を保安の観点から体系的に見ると、主なものとして電気事業法（電気設備技術基準が関連）、電気用品安全法、電気工事士法の３つの法律があります。

 

電気事業法

この法律は、電気事業の経営に関する内容のものと、電気工作物の保安に関する内容のものと２つの柱から成り立っています。

電気事業の経営者とは、各電力会社や（株）日本原子力発電などです。これら事業者に対して、電気の使用者の利益と電気事業の健全な発達をはかる内容を取り決めた法律がこれです。

また、電気工作物というのは、電気事業者用の発電設備、工場やビルなどの大規模電気設備や電線路などに含まれる工作物のことをいいますが、このような工作物をもつところでは専任の電気主任技術者を置き、電気保安の責任をもたせています。

また、一般の住宅や商店などの小規模電気工作物に対しては、その所有者はあまり電気保安に関する知識を持たないのが普通ですから、電気の供給者に対して、設備の調査義務を課しています。そして、これら一般電気工作物の工事は電気工事士などの有資格者が行い、工事に使用する電気器具や配線材料も電気用品安全法の適用を受けるものを使用しなければなりません。

 

電気用品安全法

この法規は、電気用品の製造、販売を規制するとともに、電気用品による危険亜予備障害の発生を防止することを目的としています。

 

電気工事士法

「電気工作物の設置または変更の工事」を電気工事といいます。電気工事の作業のできる者は電気工事士の免状を有する者に限られます。

この法規は、技術の低さから生じる電気工事の欠陥による漏電や感電などの災害を防止することを目的としています。

2015-06-12