自治体はエネルギー事業に主体的に参加せよ
連携のフレームワークづくりに次いで期待されるのは、事業立ち上げに要する調整です。
たとえば、風力発電の設置場所を決める際、電力会社の系統との接続の負担が重くのしかかる事があります。
個々の事業者が電力会社と個別に交渉するのではなく、自治体がひとまとめにして調節すれば、事業者の負担は小さくなります。
資金面の課題
また、ファイナンス面での役割もあります。域外の有力企業を地域の企業と連携させる、と言っても、財務力の劣る地域企業が大企業と対等な立場で出資や融資保証を行うことは難しいです。
東京都では、自治体自らの出資が呼び水となるファンドを組成し、同ファンドが絡む事で融資を引き出すといった取り組みを行っています。
単純に自治体が出資することでも地域としての主体性を維持することは可能です。
自治体自らが需要家になる
現段階では、地域のエネルギー事業では収益確保のためにFIT制度を優先することとなるでしょう。
しかし、日本のFIT制度は早晩見直され、2020年ころには地産池消が再生可能エネルギー普及の中心となっている可能性があります。
その場合、まずは自治体が需要家となりコアの収益を固めることが出来れば、地域のエネルギー事業の立ち上げリスクは大きく低下します。
ドイツのような高いコミュニティ意識が十分根づいていない日本では、まずは自治体が地域連携を先導する役を担う、という意思を持つ事から始めなくてはなりません。
日本では巨額の負債を生んだ第三セクターの経験から、自治体が事業にかかわることに慎重となる向きがあります。
しかし、いつまでも過去のトラウマにとらわれていては、地域の次世代を拓くことはできません。地域の事業資源を冷静に見つめれば、地域のエネルギー事業で自治体事業への主体的な立場を取り戻すことが合理的な選択であるはずです。