今後、エネルギー事業が海外で競争力を身に着けるためには、クロスボーダー電力供給事業者になる必要があると考えられます。
送配電ビジネルがどのように発展し、日本の事業者はどのようなビジネスモデルを築き上げていくべきかを考えてみましょう。
公共化する送配電ビジネス
発送電分離が実施された国では、基本的に送配電会社は公的な存在となります。
多くの発電会社(IPP)、小売会社(PPS)、に送電、配電のサービスを独占的に提供する事業者となるため、中立性が維持されるように政府によって管理監督されるのです。
送配電会社は、全ての電力供給事業者に対して、公平なサービスを行うことを義務付けられ、送配電網は道路と同じすべての関係者が共通の条件で使うことが出来るインフラとなります。
発電部門との線引きや送配電網の社会的な位置づけがあいまいな日本の電力会社と比べて、より公的なビジネスと言うことが出来ます。
公的な機関として、再生可能エネルギーの系統接続機能、地域間の電力流通機能、広域系統運用機能、需要家同士の電力やり取りを可能にする機能など、送配電にかかわるビジネスを一手につかさどることになります。
独占的な事業と言うだけではなく、社会的なインフラとなるため、託送料(送配電コスト)という電力供給に必要な基本料を徴収できる安定した事業となります。
一方で、当初はスマート化などのための巨大な設備投資が期待されるものの、電力需要の伸びが期待できないことから、長期的に見た事業の広がりは限定的です。
EUでは、国境を超える中立的な送配電門が整備されたことで、電力供給事業者は欧州のあらゆる国に対して電力を送れるようになりました。
それに合わせて、送配電網が電力取引所と連携して国境を越えた電力の需要と供給をマッチさせる機能を高めたので、発電市場はEU競合市場としての性格を強めるようになりました。
それが、電力供給事業者の競争環境をますます強めに、業界構造の変革を後押しすることにつながります。