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この30年で通信速度が10000倍になったことをご存知ですか??
携帯電話の発売は、今からわずか30年前のことです。それから年を追うごとに急速な進化が続いてきました。
総務省と通信会社各社は、2020年に「5G」という更に進化したサービスをスタートすることを目標としています。
現在は成熟するどころか、さらに進化が加速しているように思えます。
この記事ではこれまでの無線通信の歴史を振り返りつつ、モバイル通信でどのような未来が予想されるかということにも触れてみたいと思います。
無線通信のはじまりと初期の携帯電話
携帯電話が実用化される前は、無線通信は仕事で使うもの、またアマチュア無線を持っている人が使うもので、特別なものでした。
また初期の携帯電話は重さや価格という面でも、とても一般市民が持てるものではありませんでした。
この頃の状況について、説明していきましょう。
携帯電話ができる以前
もともと無線通信は、1901年にイタリア人のグリエルモ・マルコーニ氏が火花放電無線機を開発したことから始まりました。
軍事利用では第一次世界大戦前から日本海軍などで使用されていましたが、一般の人が無線を使う手段はアマチュア無線が中心であり、通信内容にも制限があることから電話のような利用はできませんでした。
1G 〜携帯電話のはじまり、アナログ携帯電話〜
最初の携帯電話は1979年、日本から始まりました。当時の携帯電話は大きさが3kgもあり、かばんのように肩にかけて使うタイプでした。
その後、1987年4月には初めての携帯電話が発売されます。重さは900g、待ち受け時間は6時間と、今のスマートフォンに比べるとかなり性能は劣るものです。
しかし1991年には重さが230gと大きく軽量化し、NTTドコモがmovaサービスを開始したこともあり、急速に普及が進んでいきます。
とはいえ、当時携帯電話を使うには加入時に15万円、月に2万円以上も必要でした。通話の音質も悪く、まだまだ使える人は限られた時代です。
2G 〜デジタル化された2G携帯サービス〜
1993年、PDC方式を使ったデジタル通信サービスが始まりました。これが2G携帯電話です。
その後DDIからもCdmaOne方式でのサービスが始まり、携帯電話会社間の競争が始まります。
利用者にとっても電子メールや電話が気軽に使えることになり、契約者数は1997年3月には2080万契約を超え、大きく普及が進むことになります。
また1999年にはNTTドコモからiモードのサービスが始まり、これまでパソコンでしかできなかったWeb検索やチケット予約、銀行振込といったサービスを利用することができるようになり、携帯電話の利便性は大きく高まりました。
もっともこの時期の携帯電話は、本体・通信料とも高価でした。そのため、この時代はポケットベルを持っている人も一定数いました。
一方で、携帯電話の利便性を求める人に対してPHSサービスが開始されたのもこの頃です。PHSは利用できるエリアが都市部に限られましたが、一方で通信料は安く携帯電話よりも音質が良かったことが特徴です。
そのため、一世を風靡する存在となりました。
3G~携帯電話の大衆化と通信の高速化~
21世紀に入り3Gサービスが開始されると、本体や通信料金の値下げ、通信速度のアップと魅力的なサービスの登場により、携帯電話は1人に1台となるほど急速に普及しました。
またこの頃に、現代のスマートフォンで提供されているさまざまなサービスが生まれました。この点についても解説していきます。
1.料金の低下と魅力的なサービスの増加
携帯電話の普及に伴い、料金も低下し、一般の方でも持てるものになりました。
料金面で優位に立っていたPHSの魅力が失われ、急速に衰退していったことと対照的です。みんなが携帯電話を使う時代になったのがこの時代です。
通信速度も向上し、通話可能エリアも広がった結果、人のいるところではほとんどのところで携帯電話が使えるようになりました。
携帯電話自体にもさまざまな機能が搭載され、さまざまなサービスが始まりました。
その中でも流行になったのは、写真を友達に送ったり、音楽をダウンロードする等のサービスといえるでしょう。「写メ」や「着うた」という言葉をご存知の方も多いと思います。
またおサイフケータイは電子マネーを普及させる強力な原動力となりました。
スマートフォンに切り替える際、おサイフケータイが使えるからAndroidにしたという方も多いでしょう。例えばどこでもチャージできることは大変な魅力であり、一度使うと手放せない機能です。
その他、ワンセグやテレビ電話、赤外線通信など、生活を豊かにする機能が多数搭載されました。その充実ぶりは「ガラパゴス携帯」といわれるほどのものです。
パケット定額サービスの登場
3Gサービス開始時点での携帯電話料金は、2G同様、使った分だけ料金を支払う仕組みでした。
当時の固定電話と同じ方式であり、使用量が多くなるほど料金も高くなるという、一見合理的に見えるシステムです。
しかし携帯電話を持つ人の中には一日中携帯電話でやりとりしている人や、携帯電話を使いこなすパワーユーザーもいます。このような人が月末になって万単位の請求が来る、いわゆる「パケ死」という現象が社会問題になったのもこの頃です。
このため、2003年にDDIポケットが、またauが「ダブル定額」としてサービスを開始したことを皮切りに、2005年までには携帯電話各社ともパケット定額サービスを導入することになりました。
スマートフォンが一般的になった現代では、毎月の通信量を超えた場合は通信速度が低下するサービスとして続けられています。
スマートフォンの登場
2008年にiPhoneが、また2009年にAndroidスマートフォンが発売されたことを皮切りに、携帯電話に代わってスマートフォンの普及が徐々に進んでいきました。
特に2010年12月にドコモが発表したXiは下り最大速度が75Mbpsであり、4Gサービスには及ばないまでもこれまでよりもずっと高速であるため、快適なスマートフォンの利用に貢献したといえるでしょう。
スマートフォンは小型コンピュータといえるほど高機能であり、アプリを使ってさまざまなサービスを受けられるようになりました。SNSが急速に普及したのもこの時期です。またボタン型のキーボードを排したことにより画面の大型化が実現することになりました。
なお、スマートフォンが4Gサービスと親和性が高いことは事実ですが、「ガラケー=3G」「スマホ=4G」というわけではありません。
スマホは3Gしか対応していないエリアでも(通信スピードは遅いですが)使用可能であり、逆に携帯電話タイプの製品でも4G対応のものもあります。
4Gサービス~動画も手のひらでスムーズに~
4Gサービスは下り最大100Mbpsが可能なサービスであり、3Gよりも大容量のデータ通信が可能になるサービスです。
2012年9月に、auとソフトバンクが実質上の4Gサービスを開始し、日本でも4Gの世界を体感できるようになりました。
進む大容量通信、そしてIoTの時代へ
スマートフォンは4Gサービスが始まる前から発売されていましたが、4Gサービス開始によってより快適に利用できるようになりました。
動画もストレスなく見ることができるようになりましたから、Instagramのように画像や動画が中心のサービスが受け入れられたともいえます。
4Gで大きく広がったサービスとしては、無線LAN(Wi-Fi)やWiMAXといえるでしょう。家電にもWi-Fi通信が可能となる機器があらわれ、自宅にいなくてもスマートフォンを介して状況を把握したり、指示を出すことができるようになりました。
いわゆるIoTの機能です。
また屋外でノートPCやタブレットを持ち歩く場合、これまではデータ通信が可能な端末を別に持ち歩く必要がありました。
それがWi-Fi接続可能なスポットが普及したことで、例えば出先のカフェでネット接続ということもできるようになりました。
パケット定額制は形を変えて存続
通信の大容量化が進むにつれて、一部のユーザはファイル交換サービスを使い、大量のデータを送受信することになりました。
これは通信会社の設備投資が必要な一方、毎月の利用料金は変わらないわけですから、利用者間での不公平が起きる原因ともなります。
そのため、通信各社は毎月のパケット量の上限を定め、上限ごとに料金を決める方式に変えました。上限量を超えた場合は速度低下することにより、「上限に達したら使えない」という事態を防いでいます。
このしくみはMVNOがより細分化したプランを用意したこと、また大手通信各社が大容量プランを用意したことにより、バラエティに富むものとなっています。
5Gサービス 〜通信業界の未来〜
今後サービスが開始される予定の5Gは、今までのサービスとは異なる部分がたくさんありそうです。どのようなサービスが期待できるのか、一例をあげてみましょう。
また詳細は当サイトの5Gでは4Gの100倍の速度に!何ができる?スマホが必要でなくなるも未来も!をご覧ください。
1.大容量高速通信を生かしたサービス
5Gではさらに大容量の通信が行われますので、通信速度は1Gbps程度と、大きく増加することになります。4Gの20倍程度の速度になります。
この大容量高速通信を生かして、4Kや8K動画など、これまでよりきめ細かい動画が見られるようになります。またスポーツ観戦など、映像だけでなくその雰囲気も含めた、臨場感そのままの体験をしてもらうことも可能となります。
2.IoTの進化
5Gサービスの世界では、IoTも進化することになります。例えば冷蔵庫の食品が少なくなったら自動で発注する、健康状態に応じて最適なトレーニングプランを提案するといったサービスも展開されることになるでしょう。
それは、人間が機械を使うということから、人間がネットワークの中に取り込まれるといった大きな変化が起きることも意味します。
3.混雑時でも快適な利用
現在では昼休みや年末年始、大規模イベント会場などでは通信が混雑し、快適に利用できない事態が発生しています。特にMVNO利用者ではこの現象が顕著に表れています。
5Gでは基地局を大容量化することにより、混雑時に大容量ファイルをダウンロードすることも問題なく可能となります。これにより、いつでもどこでもストレスなく利用することが可能となるでしょう。
まとめ
携帯電話は、昭和の末期に産声をあげ、平成の時代とともに進化を続けてきたテクノロジーの結晶です。そして近い未来に新しい元号となることと歩調を合わせるように、5Gサービスとしてさらに飛躍することが期待されています。
振り返れば、以下の順序でサービスが拡充してきたことになります。これらは「もっと、もっと」という要望に応え続けてきた成果ともいえるでしょう。
(1)電話をかける
(2)持ち運びを便利にする
(3)電子メールを送る
(4)Webサービスを使う
(5)写真を送ったり、音楽をダウンロードする
(6)電子マネーとして使う
(7)料金を気にせず使ってもらえるようにする
(8)スマートフォンによる画面の大型化
(9)Wi-Fiの利用、SNSの普及
(10)IoTサービスのはじまり
そして、5Gサービスでは速度アップはもちろん、IoTの進化や居ながらにして臨場感あふれる体験が可能になるなどの期待があります。
30年たっても劇的な変化を続けるモバイル通信の今後に、これからも目が離せません。