東京ガスは他の新電力会社と違い、2002年の時点で大阪ガス、NTTファシリティーズと共同出資していた会社であるエネットが特別電圧や高圧分野、つまりは一般向けではなく大口需要家に向けて電力販売を行っており、これまでノウハウや実績を積んできているという特殊性があります。
そのため電力市場への新規参入という意味合いで考えると正確には違うということになり、電力自由化に伴い一般家庭向けに満を持して参入してきたという見方が正しいかもしれません。
そんな東京ガスの一般家庭向け電力市場参入の理由を考えていきます。
東京ガスの電力市場参入の理由
エネルギー業界のNO.1へ
最大の理由は電力最大手の牙城を崩し、エネルギー分野のトップになりたい、出来るだけシェアや収益で迫りたいというところでしょう。
LNG、液化天然ガスを利用する火力発電所をいくつも所有しており、クリーンで高効率な巨大な発電能力を所持していて、自社持分の電源規模も160万キロワットというほどなんですが、2020年までにさらに発電能力を強化する計画をたてているほどの安定した電源基盤があるので一般家庭への電力供給もまったく問題なく、これまでの技術の流用でスムーズに行えることが強みでもありますし、より多くの需要にも応えられる規模を確保しようとしている点でも、最大手の牙城を崩そうという意図が読み取れます。
電気分野の進出で、さらに事業拡大を
もう一つの理由はエネルギー分野の囲い込みでしょう。
ガスというエネルギー分野に加えて電気というエネルギーまで網羅出来るということは一般家庭において生活に必須なエネルギーの大半を一手に引き受けることになります。
一般家庭においては他の電力会社に比べても料金の安さはもちろん、これまで利用していたガスとセットで利用すると割引があるというサービスは東京ガスならではのサービスともいえますし、料金の支払いを一つの会社に統合できることはこれから電力会社を乗り換えようとする人にとっては魅力的な掲示といえるでしょう。
東京ガスならではのサービス
さらに、東京ガスと提携するプロバイダと光回線サービスを一括で提供するサービスに加入することでガスと電気のセット以上にお得になるというプランまで用意している所を見ると、エネルギー以外の生活全般への囲い込みを狙っているのも見てとれます。
消費者にとってのオンリーワン
一般家庭においてエネルギー分野のオンリーワンの存在になることが主目的であり、これまでほぼ独占状態だった電力最大手のシェア奪取はもちろん、特にエネルギー分野で稼げる部分、主にファミリー層を効率的に取り込んでいき収益を上向かせていきたいというところが、東京ガスの一般家庭向け電力市場参入の理由といえるでしょう。