電力には「同時同量の原則」があります。電気はストックしておくことができないので、必ず供給量=需要量、もしくは供給量>需要量でなければいけません。
供給量<需要量となった時点でどこかで停電が発生してしまいます。
そのため、電力会社は需要を予測して余裕をもってその予測を上回る量の発電を行っています。停電を避けるために余分に大量の発電をしているのが現状です。
つまり今は需要側が優位な構造になっています。
デマンドレスポンスの仕組み
デマンドレスポンスという言葉は聞き慣れないかもしれません。しかし、日常のいたるところで取り入れられている考え方です。
では、デマンドレスポンスとはどのような考え方なのでしょうか。簡単に言うと供給側が優位に立てるシステムです。
需要側が優位に立つと供給側は余裕をもって供給する必要が出てきてしまうので無駄が多く発生します。これは電力に限らずいろいろなサービスに関して言えることです。
わかりやすい例で言うと、飛行機や高速バスなどの交通機関のチケットです。年末年始や夏休みといった繁忙期には多くの人が利用しますが、平日の昼間など閑散期にはあまり多くの人が利用しません。人の多さを予測してそれよりも多くの便数・本数を運行してサービスを提供するというのが今の電力供給と同じシステムです。
これでは、余裕を持って運行しているがために空席が多く出る時期が存在してしまいます。
ここにデマンドレスポンスの考え方を導入してみましょう。時期によって値段を変えるのです。閑散期は安く、繁忙期は高くします。
すると、時期が悪くても安ければ利用してくれる人が増え、時期が良くても高いと利用しない人が増えます。
それでもまだ空席があればもっと安くして空席を埋めることもできます。供給側が需要量をある程度操ることが可能となるのです。これによって、運営の無駄を省くことができるのです。
電力供給におけるデマンドレスポンス
電力供給おいてもチケットと同じように値段を一定にしないことによって需要量を操作しようと考えられています。
ただ、現状のシステムだとリアルタイムで各家庭の需要量を把握することができません。
日中が多くて、夜間が少ないということぐらいしか把握のしようがありません。(だから、今は夜間料金が安くなるシステムだけが使われているのですが。)
つまり、今誰がどれぐらいの電力を必要としていて、発電量と比べてどれぐらい余裕があるのかを把握しなければいけません。
今のような月1回の検針でそれは到底不可能です。そこで、登場するのがスマートメーターです。スマートメーターによってリアルタイムの電力使用状況が分かります。
電気料金に反映させることももちろん可能です。チケットのようにリアルタイムで料金を決めることが可能になるのです。
しかも、これによって余分な発電を減らすことができ、コスト削減・環境保護につながり一挙両得なのです。
いいことずくめのデマンドレスポンスのシステム。スマートメーターの導入やプログラムの開発など初期費用がかかるのだけが問題です。
しかし、新規で参入する企業もこのシステムの導入を強く求めているので近いうちに必ず導入されるでしょう。
参照元:http://techon.nikkeibp.co.jp/article/WORD/20130312/270712/?rt=nocnt