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台風の時、エアコン使っていませんか?
意外と知られていない事なのですが、台風の日にエアコンを使うと故障する可能性が高くなります。
知らずに使われている方が多いようなのですが、実は台風の後では、エアコン修理の依頼が多く届きます。何故台風の時にエアコンを使うと壊れやすくなってしまうのでしょうか?
エアコンのファンと台風による強風は相性が最悪!
雨がメインの台風ならそこまで強い風は吹きませんが、一般的な台風だと風速が30m/s級の強風が吹き荒れます。
この程度の強風なら固定された室外機が外れるほどでは無いのですが、室外機の中にあるファンに強い負荷を与えてしまい、モーターの破損やブレードの破損、最悪の場合には冷媒漏れなどの被害を起こしてしまいます。
モーターやファンの破損なら部品交換で何とかなりますが、冷媒が漏れてしまうともう修理では対処できません。室外機の全交換、古い機種ならエアコンそのものの交換が必要になってしまいます。
夏場のエアコン故障は地獄・・・
特に、台風が多い夏場はエアコン設置業者も忙しく動き回っているので、もしエアコンが壊れてしまってもなかなか修理に出向けません。夏の暑い時期にエアコンなしで生活する羽目にならないように、台風、風の強い日にはエアコンの利用は控えましょう。
室外機に強風が当たると壊れる危険性が増すのでしょうか?
これを説明するためには、エアコンが何故冷えるかと言う事から説明する必要があります。エアコンは屋外と屋内の熱を交換することによって、屋内に快適な温度の空気を送り出します。
この熱交換は外気が室内より暑くても室外に熱い空気を出して室内に冷たい空気を出す技術が使われています。冬場なら逆に、屋外に冷たい空気を出して屋内に暖かい空気を出すこともできます。夏場などに外を歩いていたら室外機から熱風を浴びせられたなんて経験がある方も多いのではないでしょうか?
この熱交換の仕組みは、冷蔵庫などでも使われているコンプレッサーを使用した方式で、熱を移動させる冷媒を冷やすor温めるために室外機にはファンがついています。
まず、室外機では圧縮機を使って冷媒と呼ばれるガスを液体になるまで圧縮します。気体には圧縮されると熱が高くなり、逆に気体になると温度が下がる性質があります。学校の授業で圧縮熱や気化熱と言う名称を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。
室外機で圧縮され、熱を持った液体をファンとラジエータで冷却し、外気温と同じ温度まで下げます。その時に室外機からは圧縮熱で発生した熱が外部に放出され、あの熱い風が出るのです。室内の温度と同じだった冷媒は、圧縮された時に熱を外気に奪われるので、圧縮された状態で常温に戻ります。すると、また気体に戻った時には圧縮前に比べて温度が下がります。この冷たくなったガスは室内のエアコンに送られ、エアコン内で室内の空気を冷やす働きをします。
エアコンには、この冷媒を冷やすために強力なファンが取り付けられています。室温程度の温度のガスを圧縮しただけでも、ガスの温度は相当高くなってしまうので、大口径のファンで強力な風を当てて冷やさなければいけません。この大型ファンは強い風が当たると風車のように回ってしまいます。
強風時にエアコンを使うと、運転しているファンに外部から強風による無理な力が加わってしまいます。すると、モーターからの力と外からの強風による力によって板挟みになったファンの羽が割れたり、折れたりしてしまうのです。
また、ファンが折れなくてもモーターが逆に回されたり、ファンが回らなくなって停止してしまう可能性もあります。こうなると室外機の可動部分すべてに大きな負荷がかかってしまい、破損、故障しやすくなってしまいます。強風、台風の時は、エアコンの使用を中止し、故障を防ぎましょう。台風が多い地域の方ならご存知かもしれませんが、台風などで強風が吹いているときには極力エアコン使うのは控えましょう!
危険がたくさん!台風時にエアコンで注意すること
エアコンを止めていても、台風の時には室外機が破損する可能性があります。
室外機そのものは頑丈に固定されているので、多少の風ではびくともしないのですが、他所から飛んできた飛来物が室外機に直撃して壊れる事があります。私が室外機故障で呼ばれて実際に目にした事がある事例では、隣家の庭木の枝が折れてファン部分に刺さったもの、自宅の瓦が上から落ち、砕けた瓦を巻き込んでしまったものなどがありました。
できる対策はやっておこう!台風時のエアコン対策
風によるファン故障以外にも、台風の時には室外機が壊れる危険が多くあります。
最近の住居は、多少の台風なら何もしなくても問題ないぐらい頑丈に作られていますが、室外機はそうも言えません。台風が来る前には、室外機にブルーシートを巻いたり、周りを保護するなどの準備が必要です。
特に、エアコンを後からつけたようなご家庭は要注意です。家を建てる際に室外機の設置場所もあらかじめ考えて設計されているなら、物が飛び込みにくかったり、強風の影響を受けにくい場所に設置されることが多いのですが、後付けではそうもいきません。設置場所が無く、天井に無理やり室外機を付けていたり、壁に直接固定用具を付け、室外機を貼りつけているような状態になっています。
そのような設置方法だと、強風の影響をもろに受けてしまうだけではなく、台風前に準備するのも難しくなります。台風が来たら確実に壊れるというものでもありませんが、ファンを保護するために、使用するのだけは控えてください。
何年かに一回来るようなとても強い台風の場合、しっかり固定していたとしても屋上などに設置された室外機が吹き飛ぶ事故も発生します。一度天井に設置していた室外機が台風で吹き飛ばされ、朝起きたら家の前の道路に室外機が落ちていたなんて事もニュースになったりしています。
幸い、誰も通行していなかったのでけが人は出ませんでしたが、室外機は固定していた金具ごともぎ取られ、天井には大きめの穴が開いてしまいました。再設置の工事で掛かった費用はわかりませんが、エアコンの全交換だけでも大体10万円以上の費用が掛かりますので、余計な出費をしないためにも用心しておきましょう!
エアコンの取り付けは夏場が非常に多いので、色々な業者が参入しています。風に対する知識が無い業者も居るため、このような事故が発生してしまう事もあります。出来るだけ経験を積み、技術を持った業者に設置を依頼するか、屋上への設置は断るようにしてください。暑いから、急ぎだからと言っていいなりになって取り付けてしまうと、後で後悔するかもしれません。
故障だけじゃない?台風の中でエアコンを使うとおこる不具合とは?
台風時にエアコンに起こる不具合は風だけじゃない!故障を防ぐために使用を中止していても、状況次第では室外機が故障したり、ちょっとした不具合が出ることもあります。
一部の地域でよく起きるのが室外機の水没
室外機に内蔵されている電気、電子系部品には基本的に防水加工はされていませんので、洪水による浸水で室外機が水に浸かってしまうような状況では耐えられないので、故障してしまいます。特に浸水で流れてくる水には泥などの色々なものが混ざっているので、電気回路に付着すると普通の水より錆びやすかったり、漏電しやすくなります。
運が良ければきれいに洗浄して乾かし、組み直せば治ることもありますが、出来れば浸水しない場所を選んで設置しておいた方が安心です。
室外機の水没は洪水だけが原因ではありません。
滅多にないのですが、室外機を洗浄しようとしてホースから水をじゃばじゃばとかけてしまう方が居ます。それでもたいていの場合には壊れないのですが、経年劣化などで隙間が出来ていると回路に水が入ってしまい、故障してしまいます。
もし室外機を綺麗にしたいと思った時は、水をかけるなら上からに限定し、ファンや裏の金網部分には直接水をかけないように注意してください。
一度は経験した事あり?エアコンからボコボコと音が聞こえる?
これは別に故障という訳ではなく、長年の使用による汚れが原因です。エアコンは空気を冷やしているので、内部には常に結露した水が発生します。その水はドレンホースによって屋外へと捨てられていますが、常に水に濡れている関係で、ホコリやカビによって段々と内部が細くなっていきます。完全に詰まっていると業者に修理をお願いしなければいけませんが、多少でも隙間が空いていればそう簡単に逆流する事はありません。
ただ、配管内が狭くなっていると、外で強風が吹いた場合にドレン内の空気が上手く通らなくなります。ペットボトルに水を入れて逆さにすると、中身が外に出る際に空気がペットボトル内に入り、ボコボコと音が鳴りますが、同じような現象がドレン内でも発生しています。
配管がきれいならスムーズに空気が上がってくるのであまり音はならないのですが、汚れなどで狭くなっていると空気がスムーズに流れず、音が出てしまいます。対策としては、室内に設置されている空気取り入れ穴を開放するか、ほんの少しだけ窓を開けておきます。
また、空気の逆流を防止する弁も各メーカーがオプションとして販売していますので、そちらを利用するのも有効です。音が鳴っているだけで、故障の原因という訳ではないのでそこまで心配する必要はありません。
一応、配管が狭くなって来てはいるので、そのまま使い続けると何か月、何年か先にドレンホースが詰まり、エアコンから水が漏れる可能性はあります。水漏れが発生してしまう前に、音が大きくなって来たら業者に洗浄を依頼しましょう。
エアコンの水漏れは、自分で直す?
ちなみに、もしエアコンの水漏れが起きてしまった場合には、自力でも対処可能です。ホームセンターなどでドレン詰まり用の手押しポンプのようなものが販売されていますし、最悪の場合には空気が漏れないようにしてから掃除機で外から吸うと解消できる可能性があります。
掃除機を使用する場合には水を吸ってしまうかもしれませんので、注意してください。
やっぱり大事なのは定期的なメンテナンス
エアコンはとても便利なものですが、ちょっとしたことで故障する可能性があります。台風などの時期や、メンテナンスを行う時は気を付けて行いましょう。