自由化後の需要サイド・ビジネス
ESCOは設備を省エネ型に更新するためのサービスですが、エネルギーコストを下げるための方法は他にもたくさんあります。
まずは、エネルギーを安く調達するためのサービスです。
電力が自由化されると、需要家は「市場にある電力のサービスをできるだけ安く調達したい」と考えるようになります。
そこで生まれたのが、需要家の側に立って市場の電力をもっと効率的に調達するESP(Energy Service Provider)と言うビジネスモデルです。
ESP(Energy Service Provider)
基本的には、時間ごとに変化する電力の単価を見るなどして最も効率的な電力を調達し販売する、と言うサービスになります。
ESPが持ち込んだ自家発電機でピークカットしたり、ベース電力として使うことで基本料金を下げたりすることもあります。
また、需要制御のためにデマンドコントロールを行ったり、市場の色々な種類の電力を使い分けるとその分面倒になる電力料金の支払い管理まで行うこともあります。
ピークカットとデマンドコントロールを除くと、自由化が中途半端な状態で中断し、PPSのシェアがわずか3%にしかならなかった日本では普及しなかったサービスです。
今回の電力システム改革が実現すれば、日本でも本格的なESPが登場するでしょう。
ESCOが先行した背景
電力コストを下げるもう一つの方法は、電力の使い方の改善です。
たとえば、自宅でエアコンの消費電力を下げようとする場合、まずは使い方を改善するはずで、その前にエアコンのインバータを交換する人はまれでしょう。
そうであるにもかかわらず、省エネサービスの世界で設備交換に当たるESCOが先行したのは、使い方の改善をサービスとして成立するための方法がなかったからです。
それを可能にしたのがITの発達です。
EMS(Energy Management System)
店舗などの電力のデータをインターネットで収集して無駄使いを見つけ、顧客に改善レポートを提示し、改善のフォローアップをする、と言ったようなサービスを提供する企業が2000年代前半から現れ出し、現在ではより詳細でリアルタイムのサービスを提供できるようになっています。
それがEMS(Energy Management System)やDR(Demand Response)です。