需要家が発展するための3つの重要な要素
・省エネを保証サービスに進化させたESCOの「契約スキーム」
・ESPの電力選択を可能にした「自由化」
・ESPからEMS、DRに進歩させた「ITの発達」
について見ていきましょう。需要サイド・ビジネス発展の三種の神器ともいえる大事な要素になります。
ESCO、ESPについてあまり知らない方はリンク記事を参照してください。
ESCO、PFI(Private Finance Initiative)など、日本にもパフォーマンスサービスのための契約の経験は十分にあります。
また、ITはEMSやDRを提供するために十分に発達していますし、システム価格も下落が期待できます。
たとえば、現状20万円程度と言われるHEMSについては、数万円程度の商品が視野に入っているという指摘もあります。
ここに2016年から始まる全面自由化が加わるので、日本でもいよいよ本格的な需要サイド・ビジネス時代が来ることになるでしょう。
分散電源と再生可能エネルギー
さらに、これからは今までにない新たな要素として、分散電源と再生可能エネルギーが加わります。
発電効率が50%に達するコジェネレーションシステムを使えば、産業向けを中心に分散電源の導入の可能性が広がります。
さらに、家庭用燃料電池の価格が50~70万円になれば、住宅用のエネルギーサービスが大きく展開するでしょう。
燃料電池はエネルギーシステムの在り方に大きな影響を与えるポテンシャルを秘めています。
ここにシェールガスなどによる天然ガスの価格低下が加われば、分散電源は一層強みを増すはずです。
こうした分散電源の発達が上に挙げた三種の神器に加わる事で需要サイド・ビジネスの可能性は広がりを増します。
また、再生可能エネルギーもいくつかの観点から需要家サイド・ビジネスの可能性を拡大します。
1つ目は、需要サイドで太陽光電池などの再生可能エネルギー電源の設置が進むことです。
2つ目は、需要家の選択肢が増えることです。需要家は経済性だけで再生可能エネルギーを選びません。
すでに、経済学が客観的に評価できない環境の価値を需要家・コミュニティ・企業は自らの判断で受け入れ始めています。
また、エネルギーの枠組みを越えた視野で再生可能エネルギー電源を評価するようになります。
例えば、スマートハウスを購入する人が、太陽電池の関連商品だけを抽出して経済性を厳格に計算しているわけではありません。
住宅、あるいはスマートハウスがもたらす生活、と言うよりもっと大きな枠組みの中で評価すればいいのです。
3つ目はやや逆説的ですが、再生可能エネルギーの不安定さが需要家向けのサービスを必要とするからです。
たとえば、太陽光発電を時価利用すれば、電気の需要調整のシステムやサービスが必要になります。業務ビルなどでPPSなどから再生可能エネルギーを調達しようとするには電力調達のサービスが不可欠になります。
このように、分散型エネルギー、再生可能エネルギーの価値が付加されることで、需要サイド・ビジネスは大きく発展する可能性があります。