電力自由化は環境問題解決にも役立つ?
地球温暖化防止に寄与する!
これまで、いわゆる一般家庭等の「低圧需要家」は、電気の購入先を自由に選ぶことができませんでした。東京電力や関西電力といった一般電気事業者から、購入することが義務付けられていたためです。そして、その電力は、基本的に原発によるものであれ、火力によるものであれ、電気事業者が一方的に供給するものにほぼ限られていました。そのため、太陽光や風力による電力を買いたいと思っても、それを実現する手段は非常に少なかったのです。2016年にはじまる電力自由化とは、この状況を変え、一般電気事業者以外のどの販売先からも、消費者が自由に電力を買えるように、規制を撤廃することを指します。そして、地球温暖化が深刻化する中で、環境負荷が少ない自然エネルギー由来の電気を、消費者が自らの意志で選択できるようになることは、温暖化の防止、すなわち「低炭素社会」の実現に、大きく寄与すると期待されています。
企業には何が求められる?
正しい情報の開示を!
消費者が賢い選択をするためには、電力を販売する小売事業者が、正しく、幅広い情報を開示することが必要となってきます。自然エネルギーを期待して購入した電気が、実は自然エネルギーを活用した電源によるものでなかったら、この電力自由化は意味を成しません。例えば、契約段階で小売事業者が消費者に対して行なう「説明」の内容と手段としてはこのようなものがあげられます。
- 消費者にどのような情報を伝えるのか(説明項目)
- どのような媒体で伝えるか(電話か書面かインターネットか、など)
- どう伝えるのか(説明方法)
この中で、契約期間などの基本的な点については、小売り事業者から消費者に対し、明確に説明することが求められています。しかし、売り物である電気そのものの具体的な由来については、必ずしも説明が求められていません。つまり、消費者は自由に電気を選べるとはいえ、自分が買っている電力がどのように生み出されたものなのか、知るすべがないのです。消費者が、普段使っている電気を生み出すのに、どれだけのCO2が排出されたのか。また、それがどのような環境負荷の生じる電源なのかを理解することは、電気を使う人の問題意識を深め、より「環境負荷の少ない電気を扱う事業者」を選ぶ行動を促すものとなるでしょう。それは結果として、地球温暖化のない「低炭素社会」の実現につながってゆきます。したがって小売事業者は、契約時だけでなく、むしろ契約後、普段の暮らしの中で目にする電気料金の領収書などを通じて、継続的に、販売している電気に関する説明を行なってゆくことが重要と考えられます。
消費者一人一人の認識が大切!
電力自由化は温暖化防止策の有力な手段!
よりよい未来を残すため、眼前に迫った温暖化の脅威にどう立ち向かうのか。そのための取り組みが求められる中で、今を生きる世代が、将来の世代に対して果たせる責任と、貢献のチャンスが、この「電力自由化」という仕組みの中にあります。個人の場合、実際に再生可能エネルギーの事業を起こしたり、投資をしたりすることで、その普及に貢献することは、非常に難しいと言わねばなりませんしかし、一人ひとりが、再生可能な自然エネルギーによる電気を、自らの意志で選び、購入していくならば、そうした新しいエネルギー事業を支え、これからの日本のエネルギー社会の在り方を変えていくことにつながるでしょう。地球温暖化の問題も、原発の問題も、海外の石油や石炭などの資源への依存もない未来を築くためにも、「電力自由化」の制度が広く、よい形で普及し、利用されることが求められています。