経済産業省は9月1日、「電力取引監視等委員会」を新たに設立したことを発表しました。これは6月17日に成立した改正電気事業法に基づいたものです。
“市場の番人”が電力市場に
今回発足が発表された電力取引監視等委員会は、証券市場でインサイダー取引などの不正を監視する証券取引等監視委員会と同じように市場のプレーヤーから独立した形で不正を摘発する役割を担います。
具体的な活動内容は?
経済産業省の公式発表の中でこの電力取引監視等委員会は以下の2つの業務を行うとしています。
①小売全面自由化等を踏まえた電力の取引の監視
②ネットワーク部門の中立性確保のための行為規制の実施等
このように監視・規制を行い、不正が発覚した場合には業務改善命令を出したり、法的拘束力のある行政処分を要請したりするとされています。
監視の対象は?
監視・規制の対象は電力供給にかかわるすべての企業としています。新電力はもちろんのこと東京電力・関西電力といった一般電気事業者も含み全ての企業が対象としています。これは、発送電の完全分離が済んでいない今、新電力と自社内の電力会社での差別が起こる可能性がゼロではないからだと考えられています。
なぜ今発足したのか?
2016年4月の電力小売自由化をにらんでの発足であることは言うまでもありません。自由化されると発電施設を持たない新電力の参入が考えられます。電気の市場での取引はより複雑に、より大規模になっていくはずです。そこで、何らかの不正が発生する可能性は市場の特性上十分にあります。また、今まで市場競争が全くなかった分野だけに各企業は経験のない競争を強いられることになります。過度な競争を規制する意味でもこの電力取引監視等委員会は意味をなすでしょう。また、2017年4月に自由化が実施されるガス市場も電力取引監視等委員会の管轄内となります。ガスもにらんでの発足という事のようです。