鉄道変電所
電車や列車に電力を供給するためには、沿線に鉄道変電所を設け、線路には電車線路を、車両には集電装置を設けます。
鉄道変電所では、送電線から供給された三相交流を直流や単相交流などに変換して、トロリー線からパンタグラフなどの集電装置によって車両に供給します。
このとき、電車を動かすモータは以前から直流モータが使われてきました。そのため鉄道変電所では、交流から直流への変換が必要でした。
しかし最近は、電子技術の進歩によって、インバータ制御という直流電力を交流電力に変換する技術の導入が進み、構造が簡単堅固で、しかも保守のしやすい交流モータを動作させることができるようになりました。
そのため、現在の電車のモータは、直流のモータに変わって、インバータ制御を利用した交流モータが主流になってきています。
なお、鉄道変電所から電車へ電力を供給することをき電といい、直流き電方式と交流き電方式があります。
直流き電方式は鉄道変電所で受けた三相交流を適当な電圧に降圧した後、整流器によって直流に変換してき電します。
その際、プラス極はき電線を通してトロリー線に接続され、マイナス極はレールに接続されます。
つまり、トロリー線からパンタグラフを経て電車のモータに入った電気は、モータを回転させた後、車輪からレールを通って変電所に戻るのです。
わが国の直流き電方式に用いられている電圧としては、JRや民間の鉄道など専用軌道をもつものは、直流1,500ボルトを使い、市電は600ボルト、地下鉄などは700ボルトを使っています。
いずれも鉄道変電所で交流・直流変換を行っています。
交流き電方式としては、JR在来線では20キロボルト、新幹線では25キロボルトが使用されています。
交流の場合、使用周波数は地域によって異なるので、50ヘルツは、東北、上越、長野新幹線、60ヘルツは東海道、山陽新幹線で用いられています。