目次
電力自由化に向けた動向として、人口4万人足らずのみやま市が注目を集めています。
人口4万人というのは大阪市の人口の67分の1、名古屋市の人口の57分の1、世田谷区の人口の22分の1という規模感です。
各自治体ではメガソーラーやバイオマス発電による電力供給を計画が進み、自治体が出資する新しい電力会社が増えてきているのが現状です。福岡県南部に位置する、みやま市でも新電力「みやまスマートエネルギー」を設立し、電力自由化に向け前進を続けている。
地産地消以上の電力会社へ「みやまスマートエネルギー」
注目されている理由
自治体が地域内の電力供給に携わる
2018年に14億円の売り上げを狙う事業計画
大規模HEMSによる電力以外のサービス、福祉の充実化
大きくこの3点が注目されているポイントです。
以下、みやま市が目指す電力自由化後の計画などについて述べていきます。
出資者と提携
2015年3月に設立した「みやまスマートエネルギー」の資本はみやま市が55%、残りの45%を地元の筑邦銀行などが出資しています。市と共同事業協定を結んでいる電力管理システムの「エプコ」より電力小売りのシステムやノウハウを調達しています。
所持している電源
電力は、市が出資している「みやまエネルギー開発機構」が持つ大規模太陽光発電から年間5,000kW調達し、加えて市民が設置した太陽光発電の余剰電力を買い取ることでまかなう計画です。(不足分は九州電力から購入予定)
電力供給の計画
今年度は市役所、小中学校など32の公共施設に電力を供給し、2016年4月以降(電力自由化後)は市内の各住宅への電力販売を進めます。現行の一般電気事業者と同様に、様々な生活様式に合わせた電力料金プランを提案し、電気料金規制が完全に撤廃される2018年には市内6,000世帯との契約、約14億円の売り上げを目指しています。
大規模HEMSによる地産地消以上のサービス
上記と合わせてみやま市では、市内での「大規模HEMS情報基盤整備事業」をスタートさせています。
市内約2,000世帯に電力を見える化できる端末が設置され、ITを用いて市と世帯をつなげています。これらを独居高齢者の見守りサービスに活用しながら、家事代行サービス、宅配、病院の予約、タクシーの手配などを簡単にできるようなタブレットを配布する計画です。電力自由化後はこういった管理サービスや提携サービスをどう活用していくかが生き残りに関わると考えられます。
以下そのタブレットのイメージ図です。(出典:みやま市発表資料)
ドイツの「シュタットベルケ」を目指す
エネルギーの地産地消型のモデルとされるのがドイツのシュタットベルケです。みやま市に関してもシュタットベルケをモデルにしています。シュタットベルケに関しては以前にまとめていますのでこちらの記事をご覧ください。
電力自由化後、価格競争の中で地域新電力が生き残るためには、みやま市が計画しているような電力以外の住民のニーズにも適合したサービスが生き残っていくと考えられます。