2003年の電力事業制度改革で誕生した「日本卸電力取引所」。新電力会社を中心に58社が集まって設立された私設の取引所です。
しかし、聞いたことがないという方も多いかもしれません。一体何のために設立され、何を取引しているのでしょうか。
成り立ち
「卸」という名前が入っているように一般の消費者・需要家がこの取引所から電気を購入することはできません。
電力供給を行う会社がここから購入して需要家のもとへ電気を届けることになります。
今までは、以下の3つの方法でしか電力を仕入れることができませんでした。
1、自前の発電所を操業して電気を作り出す
2、発電設備を持つ会社・個人から電気を購入する
3、一般電気事業者からバックアップ電力として融通を受ける
しかし、これらの方法では、大規模な発電所の開設や個別の契約などが必要です。「場面、場面に応じて一番良い条件で電力を仕入れたい」、そんな願いが形となったのが日本卸電力取引所なのです。海外ではすでに導入されているところもあるこの制度を組み込むことによって、電力市場への新規参入をより容易にしていこうとしているのです。
仕組み
日本卸電力取引所では主に4つの形での取引を行っています。
1、スポット市場
:翌日に供給される予定の電力を30分単位で買い付けることのできる市場
2、先渡し市場
:将来需要が見込まれる期間の電力をあらかじめ買い付けることのできる市場
3、時間前市場
:当日の電力を30分単位で買い付けることのできる市場
4、分散型・グリーン売電市場
:自家発電などの小規模で発電された電力や風力などのクリーンな発電施設で発電された電力を買い付けることができる市場
これらの市場を運営することによって電力供給会社がより柔軟に電力を仕入れることを可能としています。それに加えて、需要と供給のバランスによって値段をつける取引所を開設することによって市場価格の形成を可能としています。これまでは個別売買が主であったために市場価格をつけることができませんでした。
聞きなじみのない日本卸電力取引所ですが、小売電力の自由化が始まるとますます重要な取引所となってくることでしょう。
参照元:http://techon.nikkeibp.co.jp/article/WORD/20121106/249623/?rt=nocnt