1881年にガス灯がともされ、1886年に東京電灯会社(現・東京電力)が設立されて以来日本の電気は一般電気事業者によって独占的に供給されてきました。法律で厚く保護されていた電力市場も自由化されることが決定されました。今回は法律でどのように規定されたのかみていこうと思います。
骨子
2014年6月11日に可決、成立した改正電気事業法ですが、どのような内容なのでしょうか。
小売参入の全面自由化
①電気の小売業への参入規制(地域独占)の撤廃
②自由化に伴い電気事業の類型を見直し、発電・送配電・小売の事業区分に応じた規制体系へ移行
安定供給を確保するための措置
①一般送配電事業者に対する周波数維持義務
②一般送配電事業者に対する送配電網の建設・保守の義務付け
③一般送配電事業者による最終保障サービス・離島への料金平準化措置
⇒これらを着実に実施できるよう、地域独占・料金規制により送配電網への投資回収の制度的に保証
④小売電気事業者に対する供給力確保義務
⑤広域的運営推進機関による電源入札制度の創設
需要家保護を図るための措置
①当分の間、経過措置として現行の一般電気事業者に対し、小口需要について供給義務を課すとともに小売料金規制を継続
②小売電気事業者に対する需要家との契約時の説明義務等
その他の電気事業法関連の改正事項
①現行の一般電気事業者が一般担保付社債を引き続き発行できるよう措置
②現行の一般電気事業者への卸売に関する規制(事業許可制や料金規制)の撤廃
③卸電力取引所における取引の適正性確保
④設置がパターン化された電気工作物に係る保安規制の合理化
⑤電気事業法改正に伴う関係法律の改正
出所:http://www.meti.go.jp/press/2013/02/20140228002/20140228002.html
電力の小売の自由化を柱とし、電力の安定供給が継続できるような措置を盛り込んだ内容となっています。一定期間の間一般電気事業者に対して規制をかけるなど健全な競争環境となるような施策もあるようです。電気料金は下がったものの停電が多発するというような状態にならないためにも国が率先して電気の安定供給が実現できるシステムを作り上げてほしいものですね。