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砂漠は再生可能エネルギーの宝庫である、現在世界が抱える環境問題、資源問題を解決するうえで砂漠の存在を無視することは難しいです。以前日本でも砂漠での太陽光発電所建設のために研究を進めている事例「サハラ砂漠が私たちの未来を救う」を紹介しましたが、今回は既に稼働している、アメリカのカリフォルニア州のモハベ砂漠にある24時間発電できる太陽熱発電所「イヴァンパ太陽熱発電所」につて紹介したいと思います。
イヴァンパ太陽熱発電所の概要
イヴァンパ太陽熱発電所は2014年2月13日から稼働している世界最大のタワー式太陽熱発電所です。アメリカのカリフォルニア州のモハベ砂漠に建設され、5平方マイル(約13平方km)の広大な土地に、30万枚を超える鏡と、3つの高層タワーによりできているこの施設は発電能力も抜群ですが、SF映画に出てきそうなその見た目も非常に評判が高いです。
イヴァンパ太陽熱発電所の発電方法
発電方法は、30万枚にも及ぶ高さ7フィート(約2.1m)幅10フィート(約3m)の鏡をコンピューターで管理し、効率的に太陽光を反射させて高さ450フィート(約137m)のタワーの先端に集めます。タワーの先端にある水が集光された熱により蒸気に変わり、タービンを動かす仕組みです。
イヴァンパ太陽熱発電所の発電能力
この施設の450フィートのタワー3つにより392MWの電力を生み出すことができ、これによりカリフォルニア州の家庭、14万世帯の電力を賄うことができます。
またこのクリーンな施設により、年間40万トン、自動車7万2000台相当の二酸化炭素を削減することができます。
イヴァンパ太陽熱発電所の出資会社
この太陽熱発電所には電力会社のNRG Energy、プラントメーカーのBright Source Energy、グーグルが出資しています。またアメリカ合衆国のオバマ大統領も企業に出資を奨励しています。
太陽熱発電所の強み
日中に蓄熱した熱を利用することで、24時間発電することも可能であり、半導体部品を必要としないため、他の発電方法に比べると材料が低コストで建設可能。
なおかつ太陽光発電の発電効率は10%程度なのに対して、太陽熱発電の変換効率は40%という効率の高さを誇ります。
24時間発電可能
低コスト
変換効率40%
以上3点が太陽熱発電の強みです。
その他の太陽熱発電所
・イスラエルの南部に位置するネゲブ砂漠に建設されている「アシャリム発電所」。太陽光・太陽熱発電の複合施設で2016年に完成する見込みです。完成すれば世界5位の発電規模になります。
・スペインのアンダルシアの平原に立地する「ヘマソール発電所」は24時間発電できる、中央タワー式集光器と蓄熱機能を備えた世界初の集光型太陽熱発電所で、2011年に完成、稼働が始まりました。これにより24時間の発電が可能になりました。
この他にもアラブ首長国連邦や、インドなど日照量の多い地域で今後導入が多くなっていくと見られています。
残念ながら面積が小さく、雨の多い日本では太陽熱発電があまり向いてないとの意見が多く、研究レベルは世界の中でも高いのですが、実際の導入の話などは現時点ではないです。
太陽熱発電の懸念
環境に優しく、コストがかからない太陽熱発電。
しかし、砂漠などに住んでいる野生動物への影響を心配する声が多くあります。
発電タワーの周辺に集積した高温が、砂漠の野生動物に悪影響をもたらしていると自然保護団体などが主張し、太陽熱発電所の建設に反対しています。
実際モハベ砂漠にはトカゲの仲間の「ロングノーズ・レパード・リザード」などの希少種の生息地として知られているので野生動物への影響を最小限にするべく、研究が進められています。