地域エネルギーの理想形、ドイツのシュタットベルケ。
地域エネルギーや、エネルギーの地産地消を今まで再三紹介させていただきました。
今回は、これら地域エネルギーと地産地消の理想形となりうるドイツの事例、シュタットベルケをご紹介します。まずは、シュタットベルケとはそもそもなんなのかをご説明します。
シュタットベルケとは何か。
シュタットベルケとは、水道、交通やガス供給、電力事業(発電・配電・小売)など、個人・民間では手当てできない市内のインフラ整備・運営を行うために発達してきた公的な事業体のことです。設立の形態としては、もとから地方自治体が設立したものもあれば、設立当初は民間企業だったが、事業継続・拡大のために地方自治体が事業を買取り、設立した例もあります。現在は、市で100%出資し、運営しているケースもあれば、民間企業が出資しているケースも存在しています。
このシュタットベルケは、市が運営しているインフラ会社という点で、日本で盛り上がっている地域電力と似通っている部分が多く、参考になる可能性が高いです。
シュタットベルケの事例
例えば、マンハイム市のシュタットベルケであるMVVエナジー社は、電気、熱、ガスなどのエネルギー事業を核にして、その周辺事業として水道事業や廃棄物処理事業を行っています。売上高は約4億ユーロ(約550億円)、顧客数は115万世帯と最も成功した事例の1つです。地域密着型のサービスを強化し、上記のような複数サービスをパッケージとして販売することで顧客の獲得に成功しました。さらに再生可能エネルギーの促進、コジェネレーションの促進といったドイツ政府の政策に合わせた戦略を練り、展開しています。
地域エネルギーがシュタットベルケ化したときの消費者への価値
現在日本で地域電力を実施している自治体の先行事例は福岡県みやま市です。
みやま市では、電力と高齢者見守りサービスなどをセットで販売する予定で、こういったサービスを提供する地方自治体は今後も増えていく予定です。
注目の自治体みやま市。地産地消以上の電力会社へ「みやまスマートエネルギー」
今後、ガスが自由化されれば、ガスと電力のセット販売も可能になると思われます。加えて、日本では水道事業を地方自治体が管理する体制をとっているため、将来的には電気、ガス、そして水道のセット販売も可能になるかもしれません。