目次
再生可能エネルギー のみで電力を供給する未来
2050年までに電力供給を再生可能エネルギーのみで賄う計画の詳細を記した論文が学術ジャーナルの「Energy & Environmental Science」に掲載され話題となっています。
2015年現在の米国における電力供給体制は9割以上が原子力発電所もしくは化石燃料を用いた火力発電所によるもの。
太陽光発電や水力発電などの再生可能エネルギーを利用した発電による電力供給率は全米で5%未満です。
そんな現状からどのように移行していくのでしょうか?
再生可能エネルギーへの移行ステップ
次の画像は2050年までの電力供給源の変化を表したものです。
出典:publishing
まずはグラフの説明からさせて頂きます。2015年現在、図の大半を占める黒塗り部分が火力発電と原子力発電を示したものです。
グラフの右部分をご覧ください。ここには再生可能エネルギーの種類が記されていて、WINDは風力発電、SOLARは太陽光発電、HYDROは水力発電、GEOは地熱発電を示しています。
今から10年後には再生可能エネルギーによる電力供給が約50%に達し、2050年には100%を達成するという見込みです。
成功のカギを握るのは?
再生可能エネルギー移行のための最重要項目として挙げられているのが、全体的な使用電力量の削減です。
グラフの灰色で示された部分は、削減された電力量を表しています。
節電やエネルギーの効率的な利用によって使用電力量を減らしてき、2010年と比べ2050年には7割以下の使用電力量にすることが目標です。
再生可能エネルギー移行が実現された場合のメリット
大気汚染問題の解決
自然に優しい再生可能エネルギーを利用することによって、大気汚染物質が減少します。
大気汚染の原因となる代表格が、火力発電所で石炭を燃やすことによって生じる二酸化窒素。これは人体の呼吸器系にダメージを与えるだけでなく他の汚染物質の原因ともなるため最優先で減らすべきものです。
今回のプランが実現された場合、大気汚染が原因となる死亡例が年間で4万6千件減少するとされています。
雇用機会の増加
大規模な変革を行うためには人手も必要となります。全米で390万人に対して電力供給システムの建造に関わる雇用機会が生まれると見積もられています。
更に、電力供給システムの運用部門においては常に200万人の職員が必要となるそうです。
電気料金の低下
原子力燃料や火力発電に使われる化石燃料に費用をかける必要が無くなり、目標達成のために全体的な使用電力量も削減されるため一人あたりが負担する電気料金が下がります。
なんと年間で一人あたり260ドル、日本円換算でおよそ3万円のコスト削減に繋がるそうです。
実現できる可能性は?
現状の再生可能エネルギーによる電力供給率5%未満という数値を見ると、再生可能エネルギーで100%の電力を賄うなんて夢のような話に思えます。
しかし論文では、電力供給を100%再生可能エネルギーでまかなうことは技術的、経済的観念からも十分可能であるとしています。
意外にも、現実的な話なのです。もしこのプランが正式に米国政府によって採用されたら、今後のエネルギーの在り方が大きく変わるでしょう。
最後に、そんな再生可能エネルギーの可能性を感じさせてくれる事例を紹介します。
【再生可能エネルギーによって蘇った町…キーワードは「地産地消」】