IT技術を利用した住まいはIT住宅やスマートハウスなど、かなり前から話題となっています。最近ではこれに加えて、IoT住宅というものも話題に上るようになってきました。
住まいですから高い買い物になりがちであり、よく比較検討すべきものでもあります。そのためにもIoT住宅とはどのようなものか、よく知っておく必要があるでしょう。
ここではIoT住宅は便利なのか、またどのようなものかについて解説していきます。
IOTについては詳しく知りたい方は以下、関連記事をご確認ください。
しゃべる家電!!IoTって? そもそも読み方は?何が出来るようになるの?
スマートハウス
IoT住宅を語る際、スマートハウスはよく取り上げられる話題の一つといえるでしょう。
スマートハウスはIoT住宅と別のものという指摘もありますが、IT技術を採用しているという点でIoTと関連があります。
1.スマートハウスではなにができる?
すでに実用化されているスマートハウスでは、以下の3つのことができます。
- 家庭の電力の使用量を計測することで、どれだけ電力を使っているかを見ることが可能
- 太陽光発電装置等の発電装置を取り付けている場合は発電量を計測し、確認することができる
- 必要に応じて電力を蓄えることも可能
このようにスマートハウスはIT技術を用いて、省エネを実現しています。
2.HEMSとは?
HEMSは、Home Energy Management Systemの略で、電力やガスの使用量や発電量を計測し、日々のディスプレイで確認することができるしくみです。また省エネを実践すべく、家電や住宅機器等を自動的に制御することもできます。
このため、HEMSはスマートハウスに欠かせない設備です。またHEMSで収集した情報をスマートフォンアプリで確認することも可能です。
IoT住宅のメリット
IoT住宅にはスマートハウスで実現できている機能はもちろん、その他の機能も実装されることになります。以下のような機能が期待されています。
外の状況をチェックし、自動で窓を開け閉め
IoT住宅では住宅内外にセンサーを設けて、外の環境の変化に応じ適切な制御を行えることが特徴です。
外の環境の変化には、さまざまなものがあります。代表的なものを説明していきましょう。
換気を行い、エネルギー使用量を削減
室内が暑いとき、換気をすれば涼しくなる。でも面倒だからエアコンをつけるといった方も多いことでしょう。そもそも窓を開けても涼しくなるかどうかはわからないし、どの窓を開けるべきかという問題もあります。
IoT住宅では自宅内外の温度等を検知し、換気で涼しくなる場合は自動的に窓を開けるという機能を持たせることができるでしょう。これにより快適な生活と省エネを同時に実現することができます。
突然の嵐にも対応!
外が良い天気なので窓を開けていたら、突然の嵐で家の中まで雨が入ってきてしまった。また突然風が強くなり、家の中に砂ほこりがたくさん入ってしまった。このような経験をお持ちの方も多いと思います。
IoT住宅なら荒天を検知した時点で窓を自動で閉めますから、うっかり開けっ放しにしていても大丈夫です。快適な生活を送るためには必須の機能となるでしょう。
紫外線や花粉などの情報も教えてくれる
紫外線や花粉、PM2.5などは、外に出ないとわからないものです。特に紫外線は日焼けしないとわかりませんから、初夏や夏場は厄介なものです。
IoT住宅なら、外出前にこれらの情報を教えてくれます。もし紫外線が多かったり、花粉やPM2.5が多い日は、自宅を出る前に十分な対策ができるようになりますから便利です。
また毎日情報をチェックすることにより、「今日は花粉が少ないから用事を済ませておこう」というような使い方もできるようになるでしょう。
不審者が現れたらドア・窓をロック
住宅の脅威は天候だけではありません。不審者による侵入や盗難といった被害も後を絶ちません。
自宅外のセンサーで不審者を確認したら、即座にドアや窓を閉めてロックし、不審者が侵入できないようにします。警備会社のシステムと連携することができれば、この時点で警備会社に通報することも可能となるでしょう。
家電や住宅をスマホやタブレットで操作
IoT住宅では、家電や住宅をスマホやタブレット、スマートスピーカー等で操作することができるようになります。
家電だけでなく、カーテンなど本来電力が不要なものも操作できるようになるかもしれません。寝ながらテレビを見て、ポテトチップスでも食べながら指示ができるので、楽ですね。
もっともIoT住宅ではあなたの行動もチェックされますから、あまりゴロゴロしていると「寝てばかりしていないで、健康のためにも運動してください」と言われるかもしれません。
また玄関に防犯カメラ等を取り付けて連動させると、スマートフォンがインターホン代わりとして使えるかもしれません。スマホの画面で来訪者を確認し、問題なければ遠隔で開錠するというしくみです。いちいち玄関まで行かなくてもよいので、便利です。
なお家電のIoTやスマートスピーカーについては、別途記事をアップしていますのでご確認ください。
家族の急な異変にも対応
IoT住宅では、家族一人一人の行動をチェックし、異変を検知する仕組みも備わっています。例えば急に倒れたり、意識を失うような行動があげられるでしょう。
警備会社と連携することにより警備員が緊急出動する、かかりつけの医療機関との連携で救急車の手配などといったことも期待されます。
賃貸住宅でもIoTが体験可能に!
IoT住宅では住まい全般に渡る改造が必要です。そのため新築住宅なら現実的ですが、賃貸では非現実的と思われる方も多いでしょう。
しかし、2018年からは賃貸住宅でもIoT対応の住宅が登場する見込みとなっています。
賃貸住宅では住宅ごとの仕様を統一しておく必要がある関係上、機器の操作はタブレット等の専用端末が貸与されるようになるでしょう。その代わり、管理会社とのやり取りもタブレットでできるというメリットがあります。
電話のように営業時間による制限もなく、夜中でも気が付いた時にメッセージを送っておけば良いので、便利で円滑なコミュニケーションが期待できます。
まとめ~IoT住宅は人にやさしい住まいを実現する~
ここまで、IoT住宅について解説してきました。
住宅のIoT化は、省エネにつながる、Wi-Fi技術が使えるといったような面が取り上げられることも多いかもしれません。日本は技術立国ですから、このような面が注目されることも自然なことといえるでしょう。
その一方、住んでいる人から見れば、今よりも便利に、快適に、安全に住めるかということが最も重要な関心事です。本記事は主にこの観点から執筆しましたが、IoT住宅は上記のような関心事を満たす、理想的な住居といえるでしょう。
人間は四六時中あらゆることに気を付けることは難しいものですが、IoT住宅は自宅内外の状況を24時間チェックし続けることができます。あなたが行うよりも速く確実に変化をキャッチし、必要な対応を取ることができる。
それがIoT住宅といえるでしょう。これはあなたの自由時間を増やし、より効果的な活動を行えることにつながります。
またIoT住宅は購入だけではなく、賃貸でも実現できつつあります。住まいは賃貸派の皆様も、便利で快適なIoT住宅の魅力を実感することができるようになるでしょう。