低炭素社会の実現に向けて
低炭素社会の構築に向けては、日本は温室効果ガス排出量を2020年までに90年比で20%削減すると言う中期目標を、さらに2050年までには現在のレベルから60~80%削減すると言う長期目標を掲げました。世界的な低炭素化に向けた動きとしては、欧州では「20/20/20」などが公表されています。
スマートコミュニティの役割
こうした国家レベルでの目標達成に向け、スマートコミュニティの導入は極めて重要な意味を持ちます。
すなわち、CO2を排出しない再生可能エネルギーを大量導入するには電力網のスマート化が欠かせません。
また、HEMS、BEMSなど各種EMSを導入したZEBやスマートハウスが実現されれば、省エネルギー効果も期待されます。
電気自動車などの次世代自動車を上手に使うのもスマートコミュニティの役割です。
スマートコミュニティがこれまでの省エネの取り組みで産業部門に比べて弱いとされてきた民生部門や運輸部門の低炭素化に大きな期待が寄せられているのはこうした理由からです。政策でも再生可能エネルギーの固定価格買取制度が準備され、社会全体の低炭素化を後押ししています。
コミュニティ全体で未来像を共有する
一方で、こうした技術や制度が、最終的に地域に浸透し、低炭素社会に貢献するかどうかは、スマートコミュニティを形成する地域ごとに、いかに将来像が共有できるかが重要です。たとえば、最先端の技術でコミュニティ全体のエネルギー管理システムを導入していこうとした場合、個々人のエネルギー利用の在り方と地域全体の方向性が異なる場合があります。
ピーク時には各自がみな電気を使いたいわけですが、コミュニティ全体としては抑制するためのメカニズムを導入することになるわけです。
こうした問題の解決に当たっては、各地域がどのようになりたいか、どのような問題解決を図りたいかについて、十分なコミュニケーションと合意形成を経て行われていくことが理想です。