スマホやPCで火傷をするということはご存知ですか??
昨今、枕元に置いておいたスマホで低温やけどを負った!という事例が発生しています。
「低温やけど」とは44〜50℃の低温で発生する症状で、通常のやけどよりも肌に大きなダメージ残すケースが多い怖いやけどです。
「低温やけど」は暖房器具などの家電でも発生します。
ここでは『低温やけどとはどういうものか??』 と『家電での低温やけどの対策』について解説していきます。
低温やけどとは?
低温やけどはやけどの一種ですが、高温のものに触れた時のやけどとは異なります。
50℃以下など、低い温度で起きる可能性もありますから油断できません。
ここでは、低温やけどがどのようなものかについて解説します。
1.44℃以上で起こる可能性がある
消費者庁が平成27年(2015年)11月に低温やけどは44℃から起こる可能性があるとしています。
また少し温度が高くなるだけで、低温やけどになる時間は格段に短くなります。
低温やけどになるまでの時間は、以下の通りです。
・44℃では3~4時間
・46℃では30分~1時間
・50℃では2~3分
これらの温度はお風呂の湯温より少し高いだけです。そのため、表面温度が44℃程度の家電に触れていても、心地よく感じるかもしれません。
しかし長い時間触れているため、皮膚の表皮だけでなく、その下の皮下組織にまでダメージを与える重症となってしまうケースが多いのです。
2.皮膚表面よりも深い部分のダメージが大きい
低温やけどの特徴は、
皮膚の表面や真皮よりも、その下の皮下組織に対して、より大きいダメージが起きている点です。
これは、皮膚の表面は空気に触れており、真皮は熱を持っても血液の流れで熱が持ち去られていきますが、皮下組織は熱が逃げにくいためです。
普通のやけどなら熱に触れる時間も短いため、その影響は皮膚の表面が最も大きくなります。しかし低温やけどは時間をかけてじっくり熱が加わりますので、皮膚の表面と皮下組織のそれぞれに加わる熱はそれほど変わりません。
このため、空気や血液で熱が逃げやすい表面よりも、熱が逃げにくい皮下組織の方がより強い損傷を受けることになります。これが、見た目では軽症に見えても実際は重症の場合があると言われる理由です。
すぐに病院へ
通常のやけどは直ちに水で冷やすことにより、熱が真皮や皮下組織に与える影響を最小限にとどめることが可能です。
しかし、低温やけどは肌の表面よりも皮下組織の方が重症という場合も多いので、水や氷で冷やすことに意味はありません。
また、表面上は通常のやけどより軽症に見えるので安心してしまいがちですが、皮下組織には強い損害が出ています。よって低温やけどになってしまった可能性がある場合は、すみやかに医師の診察を受けることが必要です。
スマホやPCも低温やけどに注意
低温やけどの原因になる家電は暖房器具だけではありません。スマホやPCといった情報家電による低温やけどの事例もあります。
その理由も含めて、解説していきます。
1.ノートパソコン
ノートパソコンにはキーボードの前に手を置く部分(パームレスト部)があります。ここはノートパソコン内部の熱を発散する放熱部でもあるため、熱を持ちやすい部分でもあります。
通常は熱いと思ったら手を離しますから、低温やけどになることは少ないでしょう。
しかし、そのまま寝てしまった場合は別です。パームレスト部に顔を乗せたまま寝てしまったことで、ほおに低温やけどを負ってしまった事例があります。
仕事も大変ですが、眠気が取れない時はシャットダウンして寝ることが事故を防ぎます。
またひざの上にパソコンを置いて作業をする場合も注意が必要です。本体の裏面には放熱部の他に、熱を持ちやすいバッテリーなどがある機種もあります。
このため長時間ひざの上に置いたままにしておくと、低温やけどになる可能性があります。熱さや違和感を感じた場合は、体から離すようにしましょう。
2.スマートフォン
スマートフォンは、使い方によって本体が高温になる場合があります。なかでも以下のような場合は高温になりやすいものです。
・アプリをたくさん起動している時
・負荷がかかるアプリを使用している時(一部のゲーム等)
・充電中(特に使用しながらの充電は高温になりやすい)
・夏の屋外など、外気温が高温の時
特にアプリを起動したり、充電している状態で布団の中に入れると、本体の温度が50℃を超える場合もあります。
本体が50℃に近い温度の場合は、数分でも低温やけどになるおそれがあります。この場合は、通話やSNSのチェック程度の時間でも要注意です。
よって、就寝時に枕元でスマホを充電したり、就寝前にスマホでゲームや動画を見ながら良く寝てしまうという方!!
今夜からヤメてください!!
顔付近に重度のやけどを負ってから後悔したのでは遅いのです!
このため、熱いと思ったり違和感を感じた場合は、すぐにスマートフォンを離すことが大切です。またスマートフォン自体の温度をチェックするアプリもありますので、活用すると良いでしょう。
なおスマートフォンをより安全に使うために、本サイトの「スマートフォンを使う際の注意点」記事もあわせてご覧ください。
3.モバイル充電器
モバイル充電器は、バッテリーのかたまりともいえます。そのため、充電中や使用中は熱を持ちやすい家電です。
もちろん電源を切って保管してある分には、低温やけどの心配はありません。しかし充電中や使用中は熱くなる場合がありますから、この場合はあまり手で持たない方が良いでしょう。
暖房器具はやけどだけでなく、低温やけどにも注意が必要
暖房器具は熱によって体を温める器具ですが、その温度は低温やけどになる44℃を超えることが普通です。
このため、利用する際には低温やけどに注意する必要があります。
特に暖房器具を使いながら寝るのは危険です!!
暖房器具による、やけど
夜寝る時、ふとんの冷たさに驚く方も多いでしょう。このような時に電気あんかや電気毛布、湯たんぽでふとんの中を温めると、スムーズに就寝ができます。
しかし、使うのは寝る前までにしましょう。そのまま寝てしまうと低温やけどになってしまうおそれがあります。
これらの家電は、低温やけどを引き起こすものの常連です。またカバーで覆っても危険性は変わりません。
中には入院したり、皮膚移植が必要なケースも報告されています。このため寝る前には必ず取り出すか、電源を切ることが大切です。
2.電気カーペット
寒い室内、電気カーペットで床から温めることは、効果的な暖房の一つです。カーペットの上をスリッパで歩き回るのであれば、特に問題はありません。
しかし暖かく気持ちよいからといって、電気カーペットの上で寝てしまうと低温やけどになるおそれがあります。
面倒でも、ご自身のふとんやベッドの中で寝るようにしましょう。
3.こたつ
こたつの中は暖かく、ほっとするものです。冬はこたつから出たくない人も多いでしょう。
しかし、熱いと思ったらすぐ出ることが大切です。そのままがまんしてこたつの中にいると、低温やけどになるおそれがあります。
特にこたつの中で寝込んでしまうのは危険です。中には低温やけどで足の指を切断せざるを得なくなった事例もあります。
面倒でも寝る時には、ご自身のふとんやベッドまで移動することが大切です。
4.カイロ
外出時、カイロは手軽に暖を取れるものです。特に寒い日には重宝します。
しかし低温やけどになりやすいものでもありますから、注意が必要です。
カイロをつけたまま寝ることはもちろん、同じ場所に長時間つけることもいけません。少なくとも熱いと思ったり違和感を感じた場合は、すぐに外す必要があります。
まとめ~低温やけどにならないために、注意すべきこと~
低温やけどは、見つかった時は重症になっていることが多いものです。
そして発見した後、できることもそれほど多くはありません。
そのため、予防が何よりも大切です。
ここまで説明の通り、多くの低温やけどは熱を発するものに触れたまま寝込んでしまったり、熱いということを知りながら家電を使い続けたために起こるものが大半です。
そのため、以下の点に注意するよう心掛けましょう。
1、スマホやPCを操作しながら寝落ちしない!
2、枕元でスマホを充電しない!
3、寝る前には、暖房器具や熱を発する家電から離れる。またはスイッチを切る!
4、ストーブやカイロなど、暖房器具の熱を長時間受けないようにする!
5、熱さや違和感を感じたら、すぐに体から離す!
低温やけどになると治療期間も長くかかり、医療費も多くなります。
しかし家電で低温やけどになる場合の多くは、事前に防げるものでもあります。
あとで後悔しないためにも、上記にあげたことを守り、安全に家電を使うように心がけましょう。