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電力会社や電気保安協会等は「たこ足配線は使わないように」と呼びかけています。それは使用方法を誤れば火災や事故の可能性があるからです。もちろん、たこ足配線にも安全性を守る機能がついています。しかし、どうして事故が起こるのか?大丈夫なコンセントの数は?安全な使用方法をご紹介します。
たこ足配線とは?
正式名称を「テーブルタップ」といいます。コンセントから離れた場所、若しくは複数の電気器具に電源を供給するための電気器具で、「電気タップ」と言われる事もあります。
コンセントが魚のタコの身体、多数の配線がタコの足に似ている事から世間一般的には「たこ足配線」と言われ、あくまでも俗称です。
家庭用の「延長コード」として使われる事もあって、コンセントから離れた場所で電化製品を使用する時に活用され、延長コードとして延びる長さは機種によって異なりますが、2~3メートル程度はあります。
1台あたりの値段は概ね1,000円程度で、アマゾン等のネット通販、スーパー、コンビニ、家電量販店等で購入できます。
たこ足配線の主な5つの機能
必ずしも全ての機種に搭載されているわけではありませんが、使用者の安全を守るため以下の機能が付いています。
スイッチ
たこ足配線全体に電気を流すためのスイッチと、個別の差込口に電気を流すためのスイッチの2種類があります。いずれもスイッチを切った状況では待機電力がゼロ(電気が流れていない)になります。
パイロットランプ
スイッチが入った状況(電気が流れている)か判断するために、灯るランプがあります。これはたこ足配線全体にスイッチが入っている事を確認できるタイプと、個別の差込口にスイッチが入っている事を確認できるタイプの2種類あります。
シャッター
差込口の全てに何らかのコンセントが常に接続されているとは限りません。長期間放置すればホコリ等の汚れが溜まり害虫が知らぬ間に入る事もあります。
電気が通る場所にホコリや害虫等が残留し、そこにコンセントを差し込んで電気を通すと「トラッキング現象」によって発火する危険性があります。
トラッキング現象については意外と知らない電源コードの取扱い方と構造 ~事故に遭わないための6つのポイント~をご覧ください。
これは火災に直結する非常に危ないものなので、そもそもホコリや害虫が入り込まないようにするために、たこ足配線側の差込口にシャッターを設ける事で、ホコリや害虫が入り込む事を防止します。使用時はシャッターを開けた上でコンセントを接続します。
雷防止機能
落雷があった時に、たこ足配線に電化製品が接続された状態だと、落雷により生じた大電流が元のコンセントを通じて流れ込む事があります。そうなると火災になるリスクがあるほか、接続している電化製品に対しても大電流が流れるので故障の原因になります。
そこで、たこ足配線側に内蔵のブレーカーにより大電流の進入を防止します。
しかし、必ずしも全ての大電流の進入を防止できるとは限らず、落雷が建物に直撃した場合やたこ足配線内臓のブレーカーの耐性を超過した電流に対しては、全くの無力になります。
いずれにせよ、近所で落雷があるとき、空がゴロゴロしている時には、たこ足配線の使用を止めるのが安全です。
サーキットブレーカー
詳細は後術しますが、たこ足配線には使用出来る容量(定格電力)が決まっています。これを超過して使用すると発火する恐れがあります。たこ足配線側で容量超過と判断した場合、電気を遮断します。
安全に使用するポイントは「定格電力」
ここで出てくるのが「定格電力」と言う言葉。これは1つのコンセントやたこ足配線が同時に使用出来る電流(アンペアー・A)の量を示します。
使用する電化製品の電流が多いと発火する危険性が高くなります。
当サイトへよく「何個までならコンセントを同時につけていいですか?」という問い合わせがありますが、安全に使用する上で大事なのはコンセントの数ではなく、「定格電力」を超えないように使用するということです。
一般には、コンセントやたこ足配線1つあたりの定格電力は15A(1500W・ワット)ですので、ここを超過しないようにすることがもっとも大雪です。
例えば、定格電力が1500Wのたこ足配線の場合、電気ポットのそれが700Wで、オーブントースターのそれが1200Wなので、合計で1900W。
つまり、1つのたこ足配線に指してある電化製品は電気ポットとオーブントースターの2台だけでも、同時に使用出来る電流量1500Wを超過しているので、使用継続すれば発火の危険が高まります。
繰り返しますが、安全にたこ足配線を利用するには1500Wを超過しないようにたこ足配線側に指す電化製品を見直さないといけません。
電化製品ごとのアンペア、ワットの目安
それでは具体的に電化製品ごとのアンペア、ワットの目安を下記表にまとめました。
たこ足配線(テーブルタップ)を使用する上での目安としてみてください。
電化製品名 | アンペアー(A) | ワット(W) |
エアコン | 暖房13A、冷房10A | 暖房1300W、冷房1000W |
テレビ | 1,3A | 130W |
※パソコン | 1,2A | 120W |
冷蔵庫(415リットル) | 1,5A | 150W |
掃除機(弱~強により異なる) | 2~10A | 200W~1000W |
全自動洗濯機(5kg) | 4,2A | 420W |
電子レンジ | 10A | 1000W |
炊飯器(炊飯時・5,5合炊き) | 5,7A | 570W |
IH調理コンロ(火力により異なる) | 1,5A~12A | 150W~1200W |
電気カーペット(2畳) | 全面で6,8A、半面で3,4A | 全面で680W、半面で340W |
アイロン・ドライヤー | 10A | 1000W |
こたつ | 1~5A | 100~500W |
オーブントースター | 12A | 1200W |
スマートフォンの充電 | 0,15A | 15W |
※パソコンは、ノート型・デスクトップ型、年式、OS(基本ソフトの種類)により異なる。詳細は上記マイクロソフトホームページを参照。
電化製品の種類、使い方(弱や強と言った大きさ)によって違ってきます。特に電子レンジ、アイロン、ドライヤー、オーブントースターは定格電力が高くなりがちなので、これらを使用する際は注意が必要です。
また、コンセントやたこ足配線の容量表記には「125V」と言う事も書いてありますが、これは125ボルト(V)までならば対応可能と言う意味です。
一般家庭向けには100Vの電気が供給されているため、125Vの場合は問題なく使用できます。
たこ足配線の安全な使い方
たこ足配線が危険と言うのは、定格電力を超過した使い方をしているためです。
単にたこ足配線に指しているコンセントの数が多い・少ないと言う問題ではありません。コンセントの指している数が少なくても定格電力を超過しているとダメで、逆にそれが多くても定格電力が超過していなければ問題ないと言う事です。
例えば、テレビ+パソコン+スマホ充電の3つのコンセント指しても合計で265Wしかありません。このケースでは問題ありません。
一方でオーブントースター+電子レンジではコンセントの数は前者より少ないですが、定格電力は2200Wもあるので、たこ足配線の容量を大幅に超過しており、このケースではダメと言う事です。
大切なのが、コンセントの数ではなく、定格電力を超過しないようにたこ足配線側にコンセントを指す事です。全ての電化製品を四六時中使用するわけではないので、使用する時だけコンセント指して、使用しない時はコンセントを抜く。使用する時も定格電力を超過しないように注意する事です。
プラグの定期的な掃除も必要
また、プラグは定期的な掃除を心がけましょう。案外ホコリが蓄積されやすく、これが原因で発火・火災になる事があるためです。
プラグはコンセントにしっかりと根元まで指すようにしましょう。中途半端に少ししか指していないと、途中で通電されなくなり電化製品の使用が出来なくなります。壊れたフラグやコンセントは漏電やショートの原因になるため、新品に取り換えるようにしてください。
コンセントから抜く際には、コードを引っ張るのは危険で、電化製品を補完する際には束ねる事はよくありません。家電等の重いものの下敷き、挟まっている事も漏電・発火の原因です。
たこ足配線のメリット、デメリット
メリット
元のコンセントの数が少なくても、複数の電化製品を同時使用する事が可能
購入額が安い。1000円前後。販売している店も多い
いろいろタイプがある。雷防止装置、たこ足配線側で電気を通す・通さない選択(パイロットランプ)、ホコリが差込口に入らないようにするためのフタ(シャッター)、差込口の数が多い・少ない等
デメリット
定格電力(使用出来る電気の容量)が決まっている。これを超過した使用は出来ない。例えば、アイロン+電子レンジ同時使用等
定格電力を超過すると、発火・火災の原因になるから危険
たこ足配線側に指してあるコンセント(電化製品)の定格電力がどれくらいか把握しておく必要がある
ホコリ等が蓄積されやすいため、定期的な掃除が必要
まとめ
たこ足配線は元となるコンセントの数が少なくても、複数の電化製品を同時使用出来るメリットがあるため、特に集合住宅や工事等の一時的
な作業現場では重宝されています。
しかし、たこ足配線は使用出来る電力量(定格電力)に限りがあります。これを超過すると発火・火災等のリスクが高くなるため、それを超過しないように使用する事、不要なコンセントは抜くようにしましょう。
まずは当記事内の電化製品ごとのアンペア、ワット数の目安表を見ながら、ご自宅のたこ足配線(テーブルタップ)の状態を確認してみましょう。