概要
既存の地域独占的な大手電力会社とは別に電力事業に新規参入する事業者を指す。
略称はPPS(Power Producer and Supplier)。新電力とも呼ばれる。
定義
新電力は、電力自由化の過程で電気事業に新規参入した事業者のことで、正式には特定規模電気事業者と呼ばれます。原則として50kW以上の規模の需要家に対し、電気を供給する事業者を指します。電気を供給するといっても、送配電ネットワークを所有していないので、地域電力会社(一般電気事業者)の送配電線を利用して需要家に電気を送ります。
申請方法
新電力は、2000年から実施された電力の部分自由化の過程で、工場などの大口需要家に電気を供給する事業者として電気事業に参入しました。一般電気事業者は、経済産業省の許可制による厳しい規制のもとで事業を行っていますが、新電力は、同省への届出だけで事業を行うことが出来ます。というのも、新電力は、特定規模の需要家にのみ、電力を供給するため、一般電気事業者ほど厳しい規制が必要ではないという理由からです。
参入数
新電力は自由化当初、新規参入者(届出数)は、20社にも満たなかったのですが、自由化範囲の拡大に伴って届出数も増加しました。とくに、2011年の東日本大震災後の電力需給のひっ迫により、供給の拡大が課題となったことから、新規参入は一気に増大し、2013年には100社を突破、2015年4月末現在で650社あまりの届出に達しています。電力の自由化が、2016年4月から、一般家庭などを含め、全面的に実施されることになったため、それを見越して新電力の参入が増えたものとみられます。また、全面自由化では、電力ビジネスの市場が大幅に拡大すると見込まれることも、参入増大の要因となっているようです。
他業界の参入
新電力は、さまざまな業種から参入してきました。自由化当初は、石油、製紙、化学など、自社で発電設備を保有している業種の企業の参入が多かったのですが、近年は、発電設備を持たない、電機メーカーや住宅、商社、さらに情報、通信会社などの参入も目立っています。発電設備を持たないこれらの新電力は、一般電気事業者、あるいは他の発電設備を持った新電力から電力の供給を受けて需要家に電力を小売販売します。新電力の中には、火力などの電源や、再生可能エネルギー電力を保有している事業者もあります。小売電力の全面自由化では、地域電力会社も新電力もすべて小売電気事業者として、電力小売市場でしのぎを削ることになります。