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浮体式洋上風力発電所が福島に
ヨーロッパなどで現在注目されている再生可能エネルギーの浮体式洋上風力発電所は、海上などで浮体物に風力発電機を設置し、発電する方法です。日本の近海は海底が浅いところが多いため日本での浮体式洋上風力発電は難しいと言われていましたが、今回福島沖において球体式で世界最大の浮体式洋上風力発電所が12月運転を開始する見通しになったので、今回はそのことについて紹介したいと思います。
浮体式洋上風力発電所の概要
今回12月の運転開始が発表された浮体式洋上風力発電所「ふくしま新風」は直径が167mある超大型の風車を搭載していて、発電能力は一基で7MWにも上ります。「3コラム型セミサブ」と呼ばれる浮体構造の上に超大型の風力発電を設置します。風車の中心部は海面から105mの高さに設置し、風車の回転を発電機に効率伝えるために油圧ドライブ方式を採用しました。
浮体式洋上風力発電を支える「3コラム型セミサブ」
浮体式洋上風力発電を設置するための浮体に今回は「3コラム型セミサブ」を採用しました。この浮体は3本の垂直な柱と2本の水平な柱を直角に組み合わせた構造で、下半分程度が水中に潜ることで風車を安定させることができます。
浮体式洋上風力発電を福島沖で行う背景
福島沖で浮体式風力発電所を設置するプロジェクトは2011年に起きた東日本大震災からの復興に向けて、福島県を再生可能エネルギーの供給基地として発展させる目的で始まりました。プロジェクトが始まった2011年から2015年度までの5年間の間に合計3基の発電設備と1基の変電設備を建設することが目標です。
今回の「ふくしま新風」は2013年11月に運転を開始した発電能力が2MWの浮体式洋上風力発電所「ふくしま未来」、変電設備の「ふくしま絆」に続きます。もう一つの洋上風力発電所は現在浮体と風車も製造中です。
3つめの浮体式洋上風力発電所
現在浮体、風車ともに製造中の浮体式洋上風力発電設備は「アドバンストスパー」と呼ばれる構造の浮体に搭載します。「アドバンストスパー」は細長い円筒形の柱に八角形の台を縦に配置して安定性を高めます。作業が順調に進めば、2015年度内に洋上の設置作業を完了して発電を開始することができます。
今後の浮体式洋上風力発電
先述しましたが、日本近海は海底が浅いため、基本的には浮体式洋上発電には向いていません。しかし、浮体式洋上発電のメリットである、地震の影響を受けないというのは地震大国である日本にとっては見逃せない大きなメリットです。さらに島国であることもあり、今回の浮体式洋上風力発電の開発で今後日本で浮体式洋上風力発電が普及することが大きく期待されています。