来る2016年4月、いよいよ電力自由化が行われます。ポイント付与や携帯とのセット割を始めとする新サービスに期待を膨らませている方は多いのではないでしょうか。
中でも我々消費者が期待するのは、なんといっても電力価格の値下げですよね。一般的に電力自由化が行われれば市場の競争原理が働き価格は下落すると言われています。
しかし、既に電力自由化が行われたイギリスは現在毎年のように電力価格の値上がりが続いている状況です。一体、何故こんなことに?
電力乗り換えも意味なし、大手による独占
何故自由化されたのにも関わらず電力価格が高騰しているかと言うと、ビッグシックスと呼ばれるイギリス大手エネルギー6社によって電力市場がほぼ独占状態にあるからです。
現在ビッグシックスによって小売市場は9割、発電市場は7割占められています。
ビッグシックスのうち1社が値上げを行えば、他の5社も同じように値上げを行うため消費者による電力会社乗り換えという選択肢も、もはや意味を成していないのです。
まるでカルテルのようにビッグシックス間で足並みを揃えているような現状は、国会で批判されるまでに至っています。
イギリスの電力自由化は無意味だった?
もちろん、イギリスにおける自由化が無意味だった訳ではありません。
イギリスも日本と同じように自由化前は大手電力会社が発電・送配電・小売りを一挙に引き受けていたため、自由化と共に発電会社、送配電会社、小売り会社へと分離されました。
これによって自由化が行われた当初は発電市場に新規参入者も増え、市場の競争原理によって電力価格も値下がりしています。
問題はこの後です。利害関係を巡る企業同士の提携や外資の参入によって徐々に発電・送配電・小売りを一社で行ういわゆる垂直統合的な巨大企業が誕生していきました。
これが後のビッグシックスへと繋がっていき、自由化の崩壊を目の当たりにすることとなります。
日本はイギリスとは違う道を歩むのか、それとも…
イギリスにおけるビッグシックス、何かに似ていませんか?
勘の良い方はもうお気づきでしょう。そう、現在全国に10社存在し半ば地域独占状態にある一般電気事業者です。
現在はこの一般電気事業者がビッグシックスと同じように発電・送配電・小売りを一挙に引き受けています。
イギリスの自由化が上手く機能しなかった原因は自由化後に垂直統合的な巨大企業の誕生を許してしまったからです。ビッグシックスのようなグループ化を防ぐために価格カルテルの監視は必須と言えるでしょう。
イギリスの前例を踏まえ、送配電分離だけで満足するのではなく自由化後に市場の競争原理が働くような政策運営が必要となりそうです。
まずは自由化されると何が起き、何が変わるのか、正しい知識を身につけましょう。この記事を読まれたあなたにオススメの編集部一押し記事