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海外事例から考える電力自由化のデメリット

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電力自由化のメリット・デメリットに関してはEnergy-Naviでも以前から特集されてきましたが、今回はデメリットという点に絞り、海外事例を踏まえ客観的に電力自由化がどのようなデメリットをもたらす可能性があるのか考えていきましょう。

電力自由化によって停電のリスクが上がるって本当?

いいえ誤解です。本題に入る前にこのことについてはっきりさせておきましょう。電力自由化が行われても電力の安定供給という側面は守られます。契約中の新電力が倒産したとしても、電力は変わらず送電会社から供給され続けます。これは電力自由化後も、あなたの家庭に電力を送り続けている送電システムが今と変わらないからです。

電力自由化をしたカリフォルニアで大規模停電がありましたが、カリフォルニアの自由化は発電部門のみで、日本とは異なります。カリフォルニアの大規模停電に関して詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

世界の電力自由化 ~アメリカ編 ③ カリフォルニアの電力自由化~

それではいよいよ本題です。

海外事例から見る電力自由化後のデメリットは?

電気料金が値上がりする可能性

電力自由化後は電気料金が安くなるんじゃないの?と驚かれた方もいるかもしれません。実際、電力自由化後のメリットとして電気代が安くなるということを謳っている場合は多いです。

なぜかと言うと今まで一般電気事業者によって半ば独占状態にあった電力市場が自由化されると市場に競争原理が働き顧客獲得のために一般電気事業者、新電力共に電気料金を安く設定すると考えられているからです。

しかし、自由化した海外の電力自由化後の電気料金の推移を見てみましょう。

 

イタリアの場合

出典:一般財団法人 日本エネルギー経済研究所(PDF-P,41)

 

イギリスの場合

出典:一般財団法人 日本エネルギー経済研究所(PDF-P,57)

 

ドイツの場合

出典:一般財団法人 日本エネルギー経済研究所(PDF-P,10)

 

アメリカの場合

送電線第三者利用開放がアメリカにおける電力自由化ということです。

出典:一般財団法人 日本エネルギー経済研究所(PDF-P,68)

ご覧いただけると分かるように、自由化後に若干値下がりしている場合もありますが長期的な視点から見ると結果的に値上がりしている国がほとんどです。これは自由化が行われることによって今までのように電気料金を申請して政府の承認を得る必要が無くなるためです。

今年の5月に関西電力が平均10.23%の家庭向け電気料金の値上げを申請しましたが消費者庁によって値上げは平均8.36%まで圧縮されました。自由化後は、このような政府介入が一切無くなります。

価格を自由に設定できるようになるということは安くなる可能性と同じように電気料金が今より高くなる可能性も大いにあるのです。

その他、値上がりしている海外事例を踏まえると燃料費の高騰再生可能エネルギーの発電負担電力ネットワーク増強費用の負担が値上がりの主な要因のようです。

 

消費者を狙った悪徳商法が横行する可能性

電力自由化後のドイツでFlexstromという圧倒的シェアを誇る新電力が生まれました。その顧客数は60万人にも上ります。どんなサービスを行っていたかというと、電気料金を前払いする代わりに安い特別料金で電力を提供する、というものです。

しかし、2013年に突然倒産し事前に料金を払っていたのにも関わらず多くの消費者がサービスを受けられなくなる事態が発生しました。当然、支払っていた料金は戻ってきません。

同じくドイツで、新規入会者の初年度は電気料金を大幅に割引くキャンペーンを行う新電力が増加しましたがその実態は半ば強制的に契約更新させ2年度以降は割高、更に解約金も高額という悪徳商法そのものでした。

こういったドイツの事例の二の舞を踏まないためには、私たち消費者が自由化後の各電力会社、料金体系について正しい知識を身に着ける必要があります。そのためにもEnergy-Naviは電力購入比較サイトとして自由化後は消費者目線、中立的立場から消費者が本当に求めている情報を公開していきます。

これを機に、電気についてもう少し詳しくなってみませんか?Energy-Naviでは電力自由化についてのみでなく各電力会社の情報からご家庭ですぐできる節約術、電気に関する豆知識まで幅広いコンテンツを用意しています。

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