既存電力会社 VS 新規参入会社
東京ガスは、昨年の12月24日に発表した電気料金プラン「ずっとも電気」の料金を2月1日付けで改定しました。電力各社が料金プランを発表する中、実際に電気提供を開始する前に料金体系を変更した初めての例になります。
背景には、東京電力をはじめとした電力会社の料金プランに対抗しての改定と言えるでしょう。電力小売り事業の自由化にともない、新規参入の電力会社は従来の大手電力会社から顧客を獲得するべく、元来の地域電力会社よりも単価の安い料金プランや、生活リズムに対応したより多様な料金プランを提供しようとしています。
既存の大手電力会社もこの動きを見ているだけとはいかず、顧客維持のためにも新料金プランを提供する流れは自然と思われます。自由化以前は私たち消費者はどこの電力会社から電気を供給してもらうか選択する権利がなかったため、電気そのものや供給の仕方についてあまり詳しく知らなくとも困ることはありませんでした。
しかし、自由化後は多くの新規電力会社が電力小売り事業に参入すると思われ、それぞれの電力会社が打ち出す様々な料金プランが私たちの選択肢となります。できることなら毎月の電気代が少しでも安くなった方が嬉しいですよね?
そのためにも、自分の消費電力・その時間帯や各電力会社が提案する料金プランやその特徴などの情報を自らアンテナを張って得ることは重要だと思われます。そのうえで、自分にとってはどの電力会社のどの料金プランが一番お得なのかをじっくり比較できるといいですね。
そこで今回は料金プランの比較の仕方の説明もかねて、なじみのある方も多いと思われる東京ガスの新料金プランについて詳しく見ていきましょう!
東京ガスの新料金プランはどれだけ安いのか?
今回の改定では、一般家庭などに多くの利用者を見込む「ずっとも電気1」の料金プランは、基本料金と電力量料金の両方を引き下げています。多くの電力会社のプランに共通する電気料金の計算法として、A(アンペア)ごとに基本料金を設定したうえで、使用量に応じた電気量料金が加算されるというものです。
基本料金とはいわゆる固定料金で、電気を全くつかっていなくても支払わないといけない金額です。契約アンペアを見直すことで基本料金を下げ、節約するという策もありますが、不必要に契約アンペアを下げてしまうと、ブレーカーが落ちやすくなってしまうので、要注意です。
また、電力量料金の方で覚えておきたいことは、電気使用量が多くなればなるほど、電気料金の単価も高くなるという点です。普通の小売店では買えば買うほど値引きされ、単価が安くなることが多いですが、電気は逆ということですね。そのため、く電気を使うご家庭は電気量料金の上の段階の単価に注目してプランを比較するのも良いかもしれません。
「ずっとも電気1」料金表
基本料金 | 改定前 | 改定後 | 差異 |
30A | 907.20円 | 842.40円 | ▲64.80円 |
40A | 1209.60円 | 1123.20円 | ▲86.40円 |
50A | 1512.00円 | 1404.00円 | ▲108.00円 |
60A | 1814.40円 | 1684.80円 | ▲129.60円 |
電力量料金 | 改定前 | 改定後 | 差異 |
第1段階料金(~140kWh) | 23.24円 | 23.24円 | ▲0.00円 |
第2段階料金(140kWh~350kWh) | 23.89円 | 23.45円 | ▲0.98円 |
第3段階料金(350kWh~を超える) | 29.12円 | 25.93円 | ▲3.19円 |
電力量料金については、特に第3段階料金の単価を大幅に引き下げ電気使用量が多い家庭などにメリットがでる料金体系になっています。このように段階によって単価料金の値下げ幅が異なる場合もありますので、単に値下げしました!といってもそれが自分の使用量にどれほど関わっているのかをしっかり見極めることは重要です。
東京電力と比較した場合
東京ガス、東京電力が発表した新料金プランでは実際にどれほどの差があるのか見ていきましょう。今回比較するプランは東京ガス「ずっともプラン1」、東京電力「スタンダードS」です。
基本料金 | 東京ガス | 東京電力 | 差額 |
10A | – | 280.80円 | – |
15A | – | 421.20円 | – |
20A | – | 561.60円 | – |
30A | 842.40円 | 842.40円 | 0.00円 |
40A | 1123.20円 | 1123.20円 | 0.00円 |
50A | 1404.00円 | 1404.00円 | 0.00円 |
60A | 1684.80円 | 1684.80円 | 0.00円 |
基本料金に差はありません。
電力量料金 | 東京ガス | 東京電力 |
第1段階料金 | 23.24円(~140kWh) | 23.40円(~300kWh) |
第2段階料金 | 23.45円(140kWh~350kWh) | |
第3段階料金 | 25.93円(350kWh~を超える) | 30.02円(300kWh~) |
電力量料金に関しては、東京ガスが3段階料金、東京電力が2段階料金と料金体系が異なります。
モデルケースでシミュレーションしてみます
東京電力の「でんき家計簿」から情報を参照して、「H28/01 使用量:622kWh」、契約容量:60A計算してみます。(少数点は切り捨て)
東京ガスの場合
基本料金 :1684.80円(60A)
電力量料金:23.24円×140kWh=3253円
23.45円×210kWh=4924円
25.93円×272kWh=7052円
合計:1684.80円+3253.60円+4924.50円+7052.96円=16,915円
東京電力の場合
基本料金 :1684.80円(60A)
電力量料金:23.40円×300kWh=7020円
30.02円×322kWh=9,666円
合計:1684.80円+7020円+9666.44円=18,371円
東京ガスが1,455円おトクという結果が出ました。電力量料金の設定価格が東京電力と比較して安く、電気使用量が多い方には、やはりメリットが出ますね。このように実際の毎月の使用料をもとにプランごとの料金表に当てはめて計算してみることで実際に自宅の電気料金が従来とどれほど変化するのかをしっかりと数値で比較することができます。
値引き・割引合戦が開始!?
今回の東京ガスの料金改定により、その他電力会社が新たに料金プランの改定や新メニューの発表など行う可能性があります。
ユーザーにとって電気料金が下がるのは非常に嬉しいことですが、他社動向で何度も料金を改定されては、電力会社側への不信感に繋がり、電力自由化が停滞する可能性もあります。
しっかりと自分自身で情報収集しながら、最も自分にあった電力会社・料金プランを選択していきたいですね。