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電力の小売が全面自由化された2016年4月1日以降、電力会社を変えるとしたら、普通の電気メーターが取り付けられている家庭や企業では、原則的に「スマートメーター」との交換が必要になります。
一体、スマートメーターとはどんな機能などを持っているのでしょう?
普通の電気メーターと何が違うのでしょうか?
今回はスマートメーターに関して説明します。
スマートメーターとは?
スマートメーターは今後、各家庭に設置される電力使用量を計測するだけでなく電気をどのように使用しているか把握してくれる精度の高い計測器です。
スマートメーターは、アナログ式だった電力使用量のメーターがデジタル化された従来のものとは比べものにならないほど機能が充実しています。
デジタルタイプのため通信機能がついており、電力会社で遠隔操作が可能になります。
主に、検針作業やON/OFFなど作業員を配置しなくてもさまざまな作業ができるため何事にも作業が時間短縮でき、便利になります。
一言で表現すると「通信高機能電力メーター」です。
パソコンのように各家庭の電力メーターが電力会社とつながっているため、契約プランの変更も簡単にできるほか電気料金の確認など様々なサービスを受けることも可能です。
電力使用量を計測するメーターは2種類で、一番上にある写真が「スマートメーター」で、次に掲載している写真が「従来型」の「機械式メーター」になります。
スマートメーターと従来のメーターは「デジタル」と「通信」の違い
スマートメーターの「Smart」は、もちろんスマートフォンの「スマート(賢い)」の意味です。
英語圏では(コンピュータ内蔵、ハイテク搭載)といった意味で使われることも多いようです。
ちなみに、日本で言う「ICカード」は、欧米では「スマートカード」です。スマートメーターも、簡単に言えば「コンピュータ内蔵の電気メーター」。
従来のメーターとの主な違い
既存のメーター | スマートメーター | |
方式 | アナログ | デジタル |
計測間隔 | 月ごと | 30分間隔 |
設置状態 | スタンドアロン(独立) | ネットワーク(通信回線で接続) |
従来からの「電気メーター」は、電気を使うと透明容器の中に入っている円盤が回って、使用量を積算していきます。
言わば「アナログ式」、「機械式」です。毎日の電気使用量を積み上げておいて、検針担当者が1カ月に1回データを読み取っていきます。
一方のスマートメーターは、一定の時間を決めておいて、その時点の電気使用量を電力会社のサーバーに送る仕組みです。データをマイクロコンピュータ(マイコン)で記録していく「デジタル式」、「電子式」です。
こうした働きをするため、メーターの内部にはマイコン、使用量を記録する記憶装置(メモリ)、外部と情報をやり取りするための通信用の制御装置などが搭載されています。
スマートメーターの価格や設置はお金がかかるの!?
電力会社を乗り換えるに際して、毎月の料金の次に気になる点はスマートメーターの取り付けかと思います。
結論から言うと、既存のメーターもスマートメーターも、「電気メーター」は利用者のものではなく、「地域電力会社」(地域の電力事業を独占してきた大手電力会社)の所有物ですので、交換に際してお金はかかりません。
乗り換える場合は、新しい会社に連絡すると、その会社の責任で地域電力会社と調整の上、取り替えてくれます。
従来の電力会社はスマートメーターにならないの?
これまで通り、東京電力・関西電力など地域の大手電力会社を使い続ける場合も、メーターの耐用年数(10年)が来ると、原則的にスマートメーターに取り替えることになっています。
設置方法について
取替えの工事は、家庭内の電気配線を変えるわけではありませんから、それほど時間はかかりません。
取り付ける位置もいままでと同じです。立ち会いは原則的に不要、取り替え時の停電もないとされていますが、配線の状態によっては電源を落とすケースもあるそうです。
パソコンやルータなどの通信機器をはじめ、今は短時間の電源オフを嫌う電子機器が多いですから、事前に確認しておいた方がいいでしょう。
また、外壁に手を入れないと設置できないなど特殊な場合は、料金がかかる場合も一部あるようですので事前に確認しておきましょう。
スマートメーターの設置は国策です。
スマートメーターの設置は国策になっていて、経済産業省の「スマートメーター制度検討会」では、「2020年代のできるだけ早い時期に、すべての需要家に設置する」という方針を打ち出しています(「需要家」は電気の利用者)。
スマートメーターは頼まないとつけてもらえないの?
スマートメーターの設置は、新築などのタイミングで契約先の電力会社が無料で取り外しや取り付けをしてくれます。
また、電力会社の変更の際もスマートメーターを取り換える必要があるため、新しく契約する電力会社が手配をしてくれるため安心です。
平成34年までに全世帯にスマートメーターが取り付けられる予定で申し込まなくても設置をしてもらえます。
スマートメーターの便利な機能
1、スマートメーター検針方法
毎月決まった検針日に各電力会社の検針員が直接自宅の電力メーターを見て計測していました。
しかし、スマートメーターでは通信回線で電力使用量が自動的に電力会社へ送信されるため、私たちがた使用した電力データを把握しています。
そのため、検針員が測定にくることはありません。
2、スマートメーター家電との連携
スマートメーターは家電との連携でさらに節電が効果的になります。
スマートメーターは家電と無線でつながることで、自宅で使用している家電機器との無線通信ができるようになります。
例えば、東京電力のスマートメーターは東芝とNECが開発した無線通信ユニットが内蔵されています。
スマートメーターの通信ネットワークで得た30分単位の電力使用量データをもとに照明や空調などの家電機器の電力使用量を抑制することが可能です。
そのためあらかじめ設定した使用量を抑制するデータに基づき節電対策も自動でできるというわけです。
家庭内にあるパソコンなどの家電とHEMSとデータを無線で送受信することで電力使用量をリアルタイムに更新もできます。
スマートメーターとHEMSを連携し、日々の電力使用量の変化を詳しく読み取ることができるため、今後も新しいサービスが見込まれます。
3、リモート接続・切断ができる
スマートメーターは遠隔地にある電力会社から通信回線を通し、電力の接続や切断が可能です。
いちいち電力を接続しに現地まで行かなければならなかったのが、電力会社の人が行かなくてもリモートで操作することで簡単に電力を接続や切断ができるということです。
4、引越しやアンペア変更が簡素化
引越しやアンペア変更など、契約の手続きには立ち会いが必要と面倒な部分もありました。
しかし、スマートメーターで使用電力量を遠隔から検針またはアンペア値の変更設定もできるので負担が軽減されます。
通電確認瞬時で分かるから停電復旧も時間短縮
停電のときでも遠隔で通電状況を確認でき、復旧までが従来よりも時間短縮が可能です。
停電になっている区域を電力会社は停電の際、遠隔でスマートメーターからの通電状況を確認できるため電力会社の対応も早くなることが予想されます。
まとめ
スマートメーターはこのように、省エネ、電力消費の効率化、電力需給の管理だけでなく、今後、福祉、介護、医療、防災、セキュリティなど、幅広い分野で活躍することが期待されます。私たちの暮らしは、スマートメーターで大きく変わることになりそうです。