停電、それは誰でも一度は経験したことがある出来事でしょう。
「あれ?電気がつかない・・・電気の使い過ぎ?ブレーカーを確認・・・落ちていない・・・停電?!どうしよう」というように、停電の事実を目の当たりにした時には途方に暮れる方も多いと思います。
停電が起こる原因には、様々なものがあります。
原因を知っていれば、対策や備えをすることができます。
頻繁にあることではありませんが、もしもの時のために知って
停電が起こる原因
停電が起きる原因は大きく分けて「気象現象による原因」「設備等による原因」「電気の使い方による原因」の3つです。
気象現象による原因
1.落雷
停電の代表的なものです。建物への落雷はもちろん、送電設備への落雷も停電の原因となります。設備故障がなければ、短時間で復旧することも多いものです。
落雷は夏に多いと思われがちですが、四季いずれの季節にも起こり得ます。
夏の雷も危険ですが、特に東北日本海側や北陸地方を中心に発生する冬季雷はさらに危険です。
季節風の影響により雷雲が横倒しとなっているため同時に複数箇所で落雷が発生し、また一発のエネルギーも夏の雷よりも数百倍大きく危険ですので注意が必要です。
2.電線着雪
0℃前後の雪は湿っており重く、電線に巻き付きやすいものです。雪の重さで電線が切れたり、巻き付いた雪が別の電線に接触してショートすることが停電の原因となります。
屋外では電線から火花が散る現象が見られることもあります。
なお、このような着雪が起きやすい気象条件の場合、気象庁から着雪注意報が出されます。
3.小動物の感電
鳥などの動物も、体が2本以上の電線に触れるとショートの原因となります。
これは「2.電線着雪」と同様、停電の原因となります。動物だけでなく、カラスの巣などもこの原因となります。
4.風水害
台風などの暴風により、電線が切れることがあります。また電線同士が接触しショートすることもあります。
また集合住宅など変電設備が1階や地下に設置されている建物の場合は、変電設備が浸水すると、水が引き設備の修理・点検が完了するまで電気は使えません。
設備等による原因
電気設備も機器ですので、故障することがあります。
この場合、バックアップ設備がある場合はバックアップ系統へ切り換え完了次第電気が使えるようになりますが、そうでない場合は復旧まで停電することとなります。
電気の使い方による原因
1.契約アンペアのオーバー
ご家庭の場合は最も多い停電の原因でしょう。予め電力会社と契約している契約アンペアを超えるとブレーカーが落ち、停電します。まずは電気機器を使いすぎていないか、チェックしましょう。
2.近隣に工場がある場合
近隣に工場がある場合は、電圧が不安定になる、波形がひずむ等の事象が発生することがあります。停電に至らなくても、IT機器等に影響を与えることがあります。
3.工場や商業施設、オフィスビル等の大量利用により停電する可能性はあるのか?
工場や商業施設、オフィスビル等は多くの電気を消費する施設です。
これらの施設が電力を大量に使用することにより電力会社の供給能力を上回り大規模停電が発生する可能性は、実際には少ないものです。
このような施設の場合、電力会社との契約形態にはデマンドという数値が含まれています。
デマンドとは、年間を通して最も高い電力が発生する瞬間の数値です。
これらの施設は常にデマンドを超えないよう監視することが求められ、もしデマンドを超えた場合は多額の違約金等を電力会社に対して支払わなければなりません。
従って、これらの施設は経費節減という側面においても契約以上の電気は使わないことを厳守していますから、電気の大量使用による停電が起こる可能性は極めて少ないといえます。
停電の影響
1.停電に遭う確率は?
関西電力が公表している直近10年間のデータによると、年間停電回数は0.08回程度、年間停電時間は4~9分、長い年で50分程度となっています。
12.5軒に1軒は年1回、1軒当たりでは12.5年に1回停電を経験する計算です。
多い数字とはいえませんが、停電に備える必要は十分にあるといえるデータです。
2.停電の影響
再送電までの時間
電力設備に落雷した場合でも、通常は送電線と別に張られている避雷線に落ちることが多いものです。
この場合は0.07~2秒程度で復旧します。
大きな雷や鳥によるショート等の場合は、電力会社の遮断機が開放され停電します。
この場合でもしばらくすると強制的に再送電を行いますので、長時間停電することは少ないものです。
特に注意すべき機器
IT機器は常に電気を必要とする機器ですので、1秒を切る停電であっても機能が停止し、再開までには相応の時間を要します。
従って、1秒未満の停電に対しても対策を取る必要があります。
医療機器の中には人工呼吸器など、停止すると生命にかかわるものがあります。
このような機器の場合も長時間の停電は許されません。
また冷蔵庫・冷凍庫は、停電中はドアを開け閉めしなくても庫内温度が徐々に上昇します。
短時間の停電を除いては、復電後に庫内食品が溶けていないか等のチェックが必要です。
復電後に注意すべきこと
復電後、一気に全ての機器を動かし始めるとブレーカーが落ちることがあります。
これは初動時に流れる電流が大きいためです。従って、電力消費量の大きい機器は順番に電源を入れるようにしましょう。
また、復電後はコンセントが熱くなっていないか、焦げ臭くないか点検することが必要です。できれば電源プラグをコンセントから抜き、ほこりを拭き取ってから挿し直すとトラッキング火災の防止にもなります。
停電への備え
1.IT機器等の停電対策
多くのIT機器は1秒たりとも停電が許されないものです。
このような機器への停電対策として、候補の一つに上がるのはUPS(無停電電源装置)です。中身はバッテリーです。
注意頂きたいことは、UPSは瞬間停電への対策や停電時に安全にシャットダウンすることが主目的であり、停電中の長時間業務には対応できないことがあります。
従って停電時でも機器を止められない場合は、予め十分な容量のバッテリーを準備しておくか、発電機及び燃料を準備することも検討する必要があります。
ではパソコンを置いてある家庭であればUPSが必須かというと、必ずしもそうではありません。
例えばノートパソコンやタブレット機器はバッテリーを搭載していますので、停電してもしばらくは使えます。機器によっては10時間以上使用可能なものもあります。
従って、バッテリーを搭載したIT機器を選ぶことも有効な停電対策の一つとなります。
2.必要な雷対策
近くで落雷があった際、コンセントを通じて通常よりも過大な電流が流れることがあり、これは機器の故障の原因となります。
雷の光が見えたら、雷鳴が大きくならないうちにプラグをコンセントから抜くことをおすすめします。
また、最近は雷サージ対策を施したテーブルタップや延長コードが安価で入手できるようになりました。万全ではありませんが、落雷時の被害を軽減することはできます。ぜひ活用しましょう。
3.避難袋の中身は大丈夫ですか?
停電時に必要な懐中電灯、ラジオ、すぐ食べられる非常食、水。これらは、避難所へ避難する際に持ち出すべき物品の中に含まれています。
その点では、停電時は自宅が避難所になったようなもの。避難袋を用意し中身を点検・補充していれば、停電の際も落ち着いて行動できるでしょう。
まとめ
停電が起きる原因には、様々なものがあります。
雷や暴風、着雪等の気象条件によるものは、事前の情報収集が重要です。日々天気予報をチェックし、荒天が予想される時間帯は電気機器の利用を控えましょう。
小動物の感電や設備故障等は突然起こるものであり、瞬間停電でも動作停止に陥る機器については対応が必要です。方法としては、UPSやバッテリー、発電機の準備等があります。
一方で防ぐことのできる停電もあります。
契約アンペアを超えたための停電は電気機器の使い方で防げるものです。
頻繁に発生する場合は、消費電力の大きい電気機器を同時に使わない、契約アンペア数を変更する等の対応が必要です。
停電が起きた際の備えも重要です。雷サージ対策機器の利用は被害軽減に、避難袋の準備は停電時においても落ち着いて復旧を待つために役立ちます。
停電に遭うと動揺しがちですが、この記事により復旧まで少しでも落ち着いて過ごすことができるようにして頂きたいと思います。