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MVNOに学ぶ電力自由化

MNVO

2016年4月に自由化される電力小売市場。残すところ1年を切り、徐々にメディアに取り上げられることも多くなってきました。実はこの自由化、同じシステムを導入した先例があったのです。携帯電話のSIMカード販売を伸ばすMVNOと呼ばれる企業です。

MVNOとは

MVNOとは、「Mobile Virtual Network Operator」の略で日本語では「仮想移動体サービス事業者」を指します。簡単にいえば、通信設備(基地局やケーブルなど)を持たないけれども、携帯電話通信サービスを展開する事業者のことです。基本的に、大手キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)より安価なサービスを提供しているので、「格安SIM」として認識している方も多いでしょう。2007年に電気事業法及び電波法が改正され、既存の通信設備は解放しなければならないといった旨のガイドラインが総務省によって発表されました。これにより、通信に関してノウハウのない事業者でも新規参入することが可能となりました。現在では150社以上の会社が参入しています。大半の事業者はNTTドコモの回線を使ってサービスを展開しています。契約者数も順調に数を伸ばし、2014年には2000万近くの契約を獲得しました。携帯電話全体の契約数は約1億6千万ですので、10分の1以上の携帯通信が新たにMVNOに乗り換えた計算になります。

 

MVNOが契約数を伸ばす理由

このように順調に契約数を伸ばすMVNOですがなぜ多くの契約者が乗り換えるのでしょうか。主に3つの理由で乗り換える人が多いようです。

低価格

使用量に合った豊富なプラン

長期契約を前提としない契約体制

まず、MVNOは通信設備を持たないので、保守点検などの運用コストを削っています。それに加えて店舗を持たずネット上だけでサービスを展開することによって人件費や広告費を削減しています。このようなコスト削減によって、品質を変えずに安価なサービス提供が実現できているのです。150社以上の企業がそれぞれプランを設定しています。大容量の通信が可能なものから小容量で安いもの、速度が速いものから速度を抑えて安いものまで様々です。自分の使用状況に合わせてぴったりなプランを選ぶことが可能となっているのです。大手キャリアは端末とのセット販売を前提としています。そのため、端末は無料に近い形にする代わりに2年間の契約をしなければならない契約がほとんどです。これは端末料金が月々の利用料金に上乗せされているイメージです。MVNOは端末とのセット販売で利益を出すビジネスモデルではないため長期契約を求めないプランが大半です。これらの理由でより手軽に安価で高品質な通信サービスを求めて乗り換える人が急増しているのです。

 

MVNOを電力小売に置き換えると

携帯通信の自由化と電力小売の自由化はよく比較されます。全体の市場規模自体は携帯通信が約13兆、電力小売が7.5兆と差があるものの人々の生活に密着した重要な産業であることに変わりはありません。では、電力小売りの自由化と携帯電話通信の自由化。

どこが似ていてどこが異なるのでしょうか。

新規参入することができるシステムそのものがほぼ同じと言っていいほど似ています。大手キャリアが保有する通信設備を利用してサービスを提供するのと一般電気事業者が保有する送電線を利用してサービスを提供するのは同じイメージです。しかし、自由化されるまでも大手3社で市場競争が起きていた携帯電話通信市場と違って、電力小売市場では全く競争は行われていません。つまり、新規参入者が多くのシェアを獲得できるチャンスがより大きいのです。少なく見積もって、携帯電話通信市場と同じ動きをするとしても10年以内に1割の利用者が乗り換える計算になります。新規参入事業者にとってこんなに魅力的な市場はないと言われているのにもうなずけますね。

過去の事例を用いて解説しましたが、最近の電力業界は動向は激しいため目が離せません。
【第二弾、9月最新版】電力自由化に向けた電力会社の提携まとめてみました。

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