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電子レンジ、この食品に注意! ~その3.発煙・発火しやすい食材・食品~

まずは以下の「国民生活センターが出している動画をご覧ください。

国民生活センター「電子レンジ庫内の発煙・発火-庫内の汚れの付着や食品の加熱しすぎに注意」

如何でしたか?電子レンジでの発煙・発火事故は、近年増加傾向にあります。国民生活センターにも多くの相談が寄せられており、また東京消防庁管内での電子レンジの火災も平成27年・28年ともに年間30件を超えています。

火の気が無いのに以下のように発火するというのは不思議と思われるかもしれませんが、注意すべき点がいくつかあります。なぜこのような事故が起きるのか、また事故を防ぐためにはどの点に心掛ければ良いか、詳しく見ていきましょう。

発煙・発火が起きやすい食材や食品の例

電子レンジで注意すべき食材・食品としては、さつま芋・里芋・人参等の根菜類、パンや中華まん、油脂分の多い食品や液体(フライやコロッケ、クロワッサン、マーガリン、生クリーム等)が代表的なものとして挙げられています。

事故事例では水分の少ない食品や食材が多いですが、加熱時間が長ければどの食品・食材でも起こり得ます。

特に100g未満の少量の場合は発煙や発火しやすく、注意が必要です。

発煙・発火が起きる理由

電子レンジは電磁波の一つであるマイクロ波により食材の水分が振動し、この時に発生する熱で加熱されます。

この点については本サイト内「電子レンジは汚れていると発煙・発火・故障をすることも!?~手入れ方法とその必要性~」に掲載されていますので、併せてご確認下さい。

ところで電子レンジにより熱せられるものが水分だけであれば、水が全て蒸発すれば食材から水分がなくなるので、100℃以上には加熱されないはずです。しかし実際はそうならず、火災等の危険な状態となります。なぜでしょうか。

水分がなくても発煙・発火が起きる!

食塩などのごく一部の食材を除き、ほとんどの食材には炭素が含まれており、これを有機物といいます。

ここで言う「有機」の意味は炭素が含まれているという意味で、農薬や化学肥料を使っていないという意味ではありません。

炭素も電子レンジに入れると燃えます。その温度は製品や形態により異なりますが、備長炭の場合は1400℃にも達します。

これは鉄が溶ける温度です。このような物質がほとんどの食材に含まれていますから、水が全て蒸発しても電子レンジによりさらに加熱され、発火点を超えると自然に燃え始めるという訳です。

食材・食品毎の対処法、及び基本的な考え方

対処の基本的な考え方は、加熱し過ぎないことに尽きます。

そのためには、パッケージや取扱説明書に書かれている加熱時間や加熱方法を守ることが大切です。

1.パッケージに加熱時間が書かれている場合

電子レンジでの加熱に対応する食品には、パッケージに目安となる加熱時間が書かれています。

500W・600W等電子レンジの出力別に加熱時間が明記されていることもあります。この時間を目安に加熱しましょう。

パッケージには、「水をかける」「ラップをする」等、電子レンジで加熱する際の注意事項が書かれている場合があります。この場合は、記載の注意事項も併せて守りましょう。

2.パッケージが無い、または電子レンジ加熱の記載が無い食材・食品の場合

パッケージが無い食材の場合は、電子レンジの取扱説明書に書かれていることがあります。

この場合は取扱説明書の指示に従いましょう。「水をかける」「ラップをする」等の注意書きがある場合は、それにも従いましょう。

取扱説明書にも記載がない食材・食品の場合は状態を見ながら控えめに加熱すると加熱し過ぎを防ぐことができます。

食材の中に刺して温度を確認できる料理用温度計も市販されていますので、これを使用して温度を確認し、状況に応じて再加熱することも加熱し過ぎを防ぐ方法の一つです。

3.100g以内の食材・食品の場合

パッケージに記載がある場合はその内容に従います。それ以外の場合は取扱説明書の内容を参考にしながら、控えめに加熱しましょう。加熱中は煙が出ていないか、状態を確認することが大切です。

4.包装袋や容器にも注意を

包装内部の食品は電子レンジで加熱可能でも、パッケージが電子レンジ加熱不可というものもあります。

例えば、アルミ蒸着された包装袋は火花が飛ぶおそれがありますので電子レンジでの使用はできません。

スーパー等で容器に入れて販売されている惣菜等も、包装や容器が電子レンジ不可のものもあります。

包装袋や容器の注意書きを確認して下さい。もし電子レンジ加熱についての記載が無い場合、そのまま加熱すると容器が変形することがあります。

この場合は陶磁器など、電子レンジ加熱可能な容器に中身を移してから加熱しましょう。

もし発火したら

もし発火しても、慌ててドアを開けてはいけません。

物が燃えるためには、可燃物・熱源・酸素の3つの要素が必要です。

言い換えれば、このうちのいずれか一つでも遮断することができれば、消火できるのです。

ドアの内部で燃えている状態の場合は、電子レンジ庫内の酸素濃度が下がると燃焼を継続できなくなり、火は消えます。

この時にドアを開けてしまうと、部屋の中の酸素も供給されることになるため燃焼を促進してしまい、家屋に火が移る危険もあります。

従って、庫内で発火した場合は以下の対応を取りましょう。

(1)ドアを開けず、電源を切ります。(プラグを抜くことも有効です)

(2)ドアを閉めたまま、火の勢いが強くならないか庫内の様子を見ます。

(3)火が消えなければ、消火器等の消火器具を準備します。

(4)火災になりそうならば早めに119番通報します。

なお、燃焼の勢いでドアが開いたり、ガラスを溶かして火が外に出るということも考えられます。

その場合に備えて、日頃から消火器等の消火器具を準備しておくことは対策として有効な方法の一つです。

まとめ

電子レンジ使用中の発煙や発火を防ぐためには、以下の点が大切です。

(1)パッケージの注意事項や、電子レンジの取扱説明書に記載の指示に従う。

(2)加熱中は庫内を見て、煙が出ていないか確認する。

(3)少量や注意事項の無い食材・食品を加熱する場合は、控えめに加熱し状態を確認、必要に応じて再加熱する(料理用温度計の使用も有効です)。

ほとんどの食材・食品は電子レンジでずっと加熱し続けると発火点に達し、燃えます。

中でも水分の少ないものはより温度が上がりやすいですから、十分に注意しましょう。

不幸にして発火してしまった場合は電子レンジを止めてドアを閉めたまま、酸素の供給を断ちましょう。

あわせて消火器等の消火器具も準備します。火災になりそうなら躊躇なく119番通報しなければなりません。

この事態に備えて消火器等の消火用具を準備しておくことも備えの一つです。

いずれにしても、発煙・発火は加熱し過ぎが原因です。注意事項や取扱説明書等をよく確認し、安全に使用しましょう。

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画像引用及び参考
/ 国民生活センター「電子レンジ庫内の発煙・発火」(平成27年3月19日)
東京消防庁「火災に注意!電子レンジを安全に使用しましょう!」/ 東京都生活文化局消費生活部「電子レンジの安全な使用に関する調査報告書」/ 有限会社フィンテック「物質の引火点・発火点」/ パナソニック「電子レンジNE-EH229取扱説明書」/ 一般社団法人 日本電機工業会「オーブンレンジ・電子レンジ 安全/正しい使い方」/ シャープ「間違っていませんか?電子レンジの使い方」/ 京都府消費生活安全センター「電子レンジの使い方に注意!」/ タニタ「料理用温度計」/ 新潟大学「市販の電子レンジを利用した金属溶解装置の試作とその応用」/ 東海大学工学部電気電子工学科「在学生による電気電子工学技術の紹介と実験」/ 京都市「消火の3要素」