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電子レンジ、この食品に注意! ~その2.液体の温めは突沸に注意~

飲み物やスープ等は電子レンジで温めるという方も多いと思います。

注意しなければならないことの一つに、液体が突然勢いよく沸騰を始め外に飛び散る現象があります。これを突沸といいます。

この威力は、ちょっと吹きこぼれるという程度ではありません。

国民生活センターで公表されている動画には、電子レンジで温めているコーヒーなどの飲み物のほとんど全てが爆発するようにこぼれてしまっている内容が映し出されています。

国民生活センター:コーヒーやミルクが電子レンジで突沸する映像

もし手で持とうとしている時にこのような状況になったら、やけどすることは確実といってもいいでしょう。

このように、突沸は危険な現象であることがわかります。

どのようにしたら防げるものでしょうか。これから解説していきましょう。

突沸に注意すべき食品の例

突沸に注意すべき食品として、以下のようなものが挙げられています。

・飲み物全般(牛乳や豆乳だけでなく、コーヒーや水などでも起こります)

・具の入った汁(みそ汁、スープ等)

・カレーやシチュー等、とろみのある食品

・酒

・少量の液体

一言で示すと、「傾けて液体状に流れる食品」は全て注意が必要ということになります。

突沸が起きる理由と起きうる被害

1.沸騰とは?

突沸が起きる理由を説明する前に、沸騰とは何かを説明する必要があります。

沸騰とは水が100℃まで温められ水蒸気になる時の現象で、通常の状態であれば100℃に達した水が水蒸気になる際に泡となり、表面まで上昇して空気中に出ていきます。

例えば水をやかんで温めている場合は、沸騰すると水の内部に泡の形をした水蒸気がブクブクと多数できて、表面まで上昇してきます。

このような状態が通常の沸騰で起こる姿です。

なお、水が沸騰する温度は標高により変わります。標高0m付近では100℃ですが、標高1000mでは96.8℃、2000mでは93.8℃となります。

2.突沸が起きる理由

液体を温めている時に、沸騰が起きる温度に達してもブクブクと泡ができないことがあります。急激に温めた場合や気泡発生の核となるもの(器の内側の凹凸、液体内の微細な固形物など)がない場合に起きることがあります。

これは水蒸気になりたくても中で液体として押さえつけられている状態ですから、何らかの刺激があれば一気に気体の水蒸気に変化することになります。

水蒸気は水の1700倍の体積がありますので、一気に水蒸気に変化すると周囲の水を勢いよく押しのけ、水が飛び散るという現象を発生させる訳です。外から見ると液体が爆発したり一気に吹き出たりするように見えます。

特に注意が必要なものは、カレー等、とろみがついたどろどろした汁の場合です。

水等のさらさらとした液体を加熱すると、対流により温かい水は上へ、冷たい水は下へと移動し、中身がかき混ぜられやすくなっています。しかしどろどろした液体は動きにくく、対流も起きにくいものです。

そのため特に液体の下部が集中して温められた場合は、熱い液体が冷たい液体でふたをされている現象が起きてしまいます。

この状況は危険であり、少し衝撃を与えるだけで下部にある熱い液体が空気に触れ、その瞬間に水蒸気に変わり、体積が急激に大きくなった影響で周囲に飛び散る現象が起こり得ます。

3.突沸が起きた場合に起こり得る被害

実際に突沸が起きた場合、以下のような被害が報告されています。

1)庫内で突沸が起きた場合…庫内の汚れ、電子レンジ内部機器の損傷、容器の破損

2)庫外で突沸が起きた場合…やけど等のけが、容器の破損、家具や床・壁・天井の汚れ(状況によっては液体が天井まで達することもあります

温めた液体は急には冷えません。従って、電子レンジから外に出した後でも突沸が発生することがあり、事故例も報告されています。

対処の基本的な考え方

1.突沸を起こさないために

最も大切なことは、温め過ぎないことです。飲み物専用のあたためボタン機能がある場合は使いましょう。

無い場合は控えめに加熱します。取扱説明書には代表的な食品の加熱時間と加熱方法が書かれていますので、参考にして下さい。

突沸は大きなけが等の事故につながる可能性があります。必ず取扱説明書を読んでから使いましょう。

2.もし温めすぎたら

うっかり温め過ぎてしまうことは誰でもあるものです。この場合、早く冷やしたいと思うあまりに、すぐに庫外に出してはいけません。

動かした時の衝撃で中の液体が突然あふれ出し、やけど等の被害が出る恐れがあります。同様の理由で、水や砂糖など何か入れることもいけません。

温め過ぎた場合、突沸しそうかどうか見分けることは困難です。

加熱後は庫内に置いたままの状態で扉を開けず、1~2分待つことが最も安全な方法です。確実に突沸しなくなる訳ではありませんが、その確率を下げることができます。

食品及びケース毎の対処法

以下に代表的な食品やケース毎の対処法を記載します。なお、加熱しようとする食品がお持ちの電子レンジで加熱可能かどうか、また温め時間の目安や注意点については、取扱説明書にてご確認下さい。

加熱後はかき混ぜましょう。但し温め過ぎた場合は1~2分待ってから混ぜて下さい。

1.水・コーヒー等、さらっとした飲み物

なるべく広口の容器に入れ、かき混ぜてから温めます。

また、飲み物温めの専用機能がある場合は使いましょう。

温めた後に砂糖などを入れる場合は、一度かき混ぜ問題が無いことを確認してから入れて下さい。いきなり入れると、その衝撃で突沸を起こすことがあります。

2.お酒

背の低い容器に入れ、かき混ぜてから温めましょう。

3.みそ汁やコーンスープ等の具入り汁

具の飛び出しを防ぐため、ラップをしましょう。様子を見ながら加熱します。

4.カレーやシチュー等、とろみのある汁

深めの容器に入れラップをします。とろみがあるため容器の中で対流が起こりにくくなっていますので、加熱途中でかき混ぜます。様子を見ながら加熱しましょう。

5.容量が少ない場合

容量が少ないとすぐに沸騰してしまいます。

温めができる最低の量は電子レンジの取扱説明書に記載されていますので、それ以下の容量の場合は電子レンジで加熱しないようにしましょう。

まとめ

どの液体でも、電子レンジで温める場合には突沸に注意が必要です。突沸を防ぐポイントは以下の5点です。

1、少量の加熱には使用しない

2、飲み物の温めボタンがある場合は使用する。様子を見ながら加熱する

3、温め過ぎたら、そのまま1~2分待つ

4、加熱後はかき混ぜる。持ち運びは静かに

5、取扱説明書を読んでから使用する

電子レンジによって搭載している機能は異なり、またどこまでが少量なのか?というところも異なる場合があります。

その点でも取扱説明書を確認することは大切ですので、必ず読みましょう。

本来電子レンジは便利な家電であり、火を使わずに温めができるという大きなメリットがあります。突沸で電子レンジの損害のみならず、やけどやけが、家屋の損害につながらないよう、よく確認した後で使いましょう。
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画像引用及び参考
国民生活センター「食品加熱時の突沸に注意」
国民生活センター「食品加熱時の突沸に注意(動画)-高解像度版」
好日山荘「標高と水の沸騰の関係」
日能研「出題校にインタビュー!本郷中学校・理科」
※液体が急激に気体に変わるとどうなるかということについても触れています
一般社団法人 日本電機工業会「オーブンレンジ・電子レンジの安全・正しい使い方」
三菱電機「電子レンジであたためてはいけないもの」
パナソニック「電子レンジNE-EH229取扱説明書」