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ココに注意!IHクッキングヒーターの事故事例と使い方

IHクッキングヒーターは火を使わないから安全!と考えていませんか?確かにガス漏れの危険がなく、掃除も簡単で便利です。しかし間違った使い方は怪我や火事の元になります。

今回はあまり知られていない、IHクッキングヒーターの注意事項と使い方を事故事例を用いてご説明します。

 

IHクッキングヒーターの事故事例

東京都が平成21年度に発行した「キッチンでの事故防止ガイド」によると、以下の事故事例が報告されています。

事故1:やけど

IHクッキングヒーターを使用後にトッププレートを触ってしまいやけどした。

事故2:落下

IHクッキングヒーターで調理中、突然鍋が横滑りし床に落ちた。

事故3:発火

IHクッキングヒーターの下に汚れ防止マットを置き、天ぷら油を加熱中にその場を離れたところ、油が発火し火災に至った。※平成24年7月、滋賀県にて発生報告。

事故4:発火2

鉄鍋の外枠をプラスチックで覆った調理器具をIHクッキングヒーターで加熱したところ、発火した。※平成26年5月、大阪府八尾市で発生報告。

他にもIHクッキングヒーターの利用においては注意すべき点があります。以下の項目で確認していきましょう。

IHクッキングヒーターのしくみと、使用可能な調理器具

1.IHクッキングヒーターのしくみ

IHクッキングヒーターを用いて加熱するしくみは、次の通りです。

(1)機器の内部には渦巻き状のコイルが入っています。電流が流れると、コイル周辺に磁力線が発生します。

(2)(1)の状態の時、トッププレートと鍋が接触していると磁力線が鍋の内部を通ります。この時、鍋底にうず電流が発生します。

(3)発生したうず電流が鍋を通る際、電気抵抗によって熱が発生します。この熱を調理に用います

また、トッププレートの下には鍋などの調理器具の温度を検知するセンサーがあります。

また温度が異常上昇した場合は火災を防ぐため動作を停止する機能が備わっています。

2.使用可能な調理器具

上記の説明から、IHクッキングヒーターで使用する調理器具はIH用のマークが付いた鍋等に限定されます。

素材は、鉄やホーロー、ステンレス等、電気抵抗によって十分に発熱する素材が適しています。

さらに滑り落ち防止のため、ある程度の重さがある器具が適しています。

3.使用不可の調理器具

また、以下のような調理器具は使用できません。

1)底面の形状が平らでない調理器具

(2)アルミや銅製等、電気抵抗の低い素材で制作された調理器具

(オールメタル対応型のIHクッキングヒーターであれば使用可能です)

(3)土鍋、ガラス、陶磁器等、金属でない素材の調理器具

(4)鉄鍋の外枠にプラスチック等、金属を可燃性の非金属素材で覆っている調理器具(火災の原因となります)

使用した場合は加熱できず調理に使えない場合や、逆に温度センサーが正常に働かず加熱しすぎによる発火の原因になることがあります。

IHクッキングヒーターの注意点

Cooking in red pots on induction hob

1.炎が見えていなくても、トッププレート上は高温!

上記の「IHクッキングヒーターの原理」にて触れた通り、炎を用いずに加熱できることがIHクッキングヒーターの特長です。

しかし、裏を返せば一目で危険な温度かどうか判別できないことも意味します。

使用直後の温度は、使用方法によっては300℃近くに達することもあります。

手で触ってやけどしない温度まで冷えるには、スイッチを切った後数分、またはそれ以上の時間が必要です。

炎が出ていないので油断しがちですが、「高温注意ランプ」点灯中は手を触れてはいけません。ランプ消灯後、十分冷えたことを確かめてから触りましょう。

2.揚げ物を行う場合は特に注意を

IHクッキングヒーターの特長の一つに、加熱が容易ということが挙げられます。

素早く高温まで鍋の温度を上げられるということです。

これは同時に、温度センサーが正しく働いていなければ油が自然発火する温度にまですばやく上昇することも意味します。

早ければ加熱開始後5~6分で380℃以上となり自然発火してしまいます。

このような事態にならないために揚げ物専用のボタンや機能があります。

揚げ物を行う場合は必ず揚げ物専用のボタンや機能を使いましょう。

また取扱説明書には最低必要な油の量(200gとしているところが多いようです)と必要な深さが記載されていますので、併せて守りましょう。

調理中に鍋から白煙が上がった場合は発火の前段階であり、大変危険です。直ちに加熱を停止し、温度を下げましょう。

なお、IHクッキングヒーターが正常稼働しており、かつ正しい使い方をしている場合、揚げ物時の温度は200℃前後です。

3.トッププレート上はガスコンロと異なり、滑りやすい

ごとくの上に調理器具を載せるガスコンロと異なり、IHクッキングヒーターのトッププレート面は平らです。

従って滑りやすく、濡れているだけでも動き、鍋が滑り落ちることがあります。落下事故防止のため、調理前によくふき取りましょう。

汚れを放置すると、火災の原因になりうる

鍋底に異物や汚れがある場合、トッププレートと鍋底が直接接触せず、間に汚れた部分が挟まることになります。

このため汚れにより鍋底の温度を正確に検知できず、高温による発火の原因となりえます。また汚れ自身が発火の原因となる可能性もあります。

5.汚れ防止カバー・マットを敷くと、火災の原因になりうる

都度掃除することが面倒なので、汚れ防止カバー・マットを敷くこともいけません。

やはりトッププレートと鍋底が直接接触しないため、鍋底の温度を正確に検知することができません。汚れ防止カバー・マットの素材によっては、5~6分の加熱で油が自然発火することもあります。

取扱説明書にも「汚れ防止カバーは使用不可」と記載されていますからカバーを取り付けることはせず、使用する度に掃除することを心掛けましょう。

サッと拭くだけで汚れが取れることはIHクッキングヒーターの魅力の一つです。

 

6.調理時に発せられる磁力線にも注意を

調理時には磁力線が出ます。このため、クレジットカードやキャッシュカードを近づけると使えなくなることがあります。

IHクッキングヒーターのそばに置いたりポケットに入れたまま調理することはやめましょう。
また、ラジオ等に雑音が入ることや、音が小さくなる可能性もあります。

まとめ

いかがでしたか?何気なくIHクッキングヒーターを使用して、上記、注意事項をしてしまっていませんか?正しい使い方をすると機器の寿命も長くなりますし、節電にもつながります。もう一度見直して安全に正しく使っていきましょう。

ちなみに心臓にペースメーカーを装着している方は、動作に影響が出る可能性があります。このような方でIHクッキングヒーターの利用を検討されている場合は、かかりつけの医師に相談してからにしましょう。