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FERC、米国のエネルギー市場監視機関

FERC

FERCとは

米国の電力・ガス市場を監視する強い権限を持つ機関を連邦エネルギー規制委員会(FERC)と言います。今回はFERCの持つ「民事的懲罰金」という権限について説明したいと思います。

そもそも民事的懲罰金は違法行為防止という行政目的を達成するために行政庁が事業者の不正行為に科す金銭的不利益です。

かねてからFERCは民事的懲罰金がなければ、市場内で悪質な行為を行う市場参加者が野放しになると主張していた。そして2000年前後の市場の混乱やカリフォルニア電力危機などがきっかけになり、より統制をとるため、民事的懲罰金を科す権利が与えられた。具体的には法令違反に対する懲罰金は1件につき1日最高100万ドルで、違反状態が続いている期間が対象になります。

今回は実際に民事的懲罰金を科す過程を紹介します。2007年7月にエネルギーコンサルタントのAmaranth  Advisorsに対してペナルティー告知を提案しました。その内容は天然ガス先物取引で申し立てられたAmaranthの市場操作において3億ドルの懲罰金を科すという内容でした。しかし実際にこのような金額を払えばAmaranth Advisorsは経営破綻をする以外の選択肢はないので、FERCは民事的懲罰金750万ドルと市場倫理に関する職員教育プログラムの導入を求める和解案を掲示し、Amaranth Advisorsはこれに応じるというので最終的には落ち着きました。

この事例からわかるようにFERCは最初に高額な懲罰金を掲示し、その後金額を引き下げることで 和解に持ち込みやすくし、市場をさらによくするためのペナルティーを与えることで、市場の安定を図ろうとしています。

大規模なエネルギー産業市場を監視するには様々な工夫が施されているのが分かります。