一時期爆発的に普及した「オール電化」
新築・リフォームのタイミングでオール電化にされたご家庭が多いと思います。
「電力の自由化」により新たな電力会社や新たなプランを選べるようになりました。
オール電化のご家庭が新たな電力会社や新たなプランに切り替えた場合どうなるのでしょうか?
今回は、オール電化の場合は新電力に切替えについて検証します。
ある時をきっかけにオール電化の普及が減少に
2000年代に入ってから普及しだしたオール電化ですが、安全性・光熱費の一本化など、オール電化の持つメリットが多く認知され右肩上がりで普及していました。
他にも、ガスの基本料金が不要になり、費用面でのメリットがあるのも大きいです。
そして、2013年度のオール電化の導入戸数は562万戸になりました。
しかし、2011年3月11日の東日本大震災が起こったことで日本における電力供給事情が変化してしまいました。
震災以降はオール電化の普及の伸びが減少し、各電力会社も、オール電化の新規営業を控えている状況です。
オール電化の普及はペースダウンしているものの、安全性や様々なメリットを考え、新築一戸建てやリフォーム分野でユーザーから要望が出されるケースも一定数あり、今後も一定の水準で採用されていくことが見込まれています。
しかし、2016年4月の電力小売り完全自由化以降は、結果として新電力からのオール電化に対応した電気料金プランは少ないのが現状です。
多くの新電力は、電気使用量が多い家庭が従来より割安になるプランを発表していますが、オール電化住宅の家庭は、従来からある専用プランが割安に設定されているため、従来の方が安いケースが多いです。
オール電化自体が下火になっている事や、2017年4月からガスの小売りの自由化も始まるのでオール電化の新プランを発表する企業はありません。
新電力に変えた時のどうなる??
今回は、東京電力でオール電化のご家庭の多くが加入しているプラン「電化上手」(2016年3月末までの契約)から新電力会社の中でも割引率がトップクラスに高く、メニューもシンプルで判りやすい「ENEOSでんき」に変えた場合、電気料金がどうなるのか調べてみました。
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これは同じような料金プランが、中部電力でもあります。
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ENEOSでんきの料金プラントータルの電気使用量料金
ENEOSでんきの料金プランは24時間一律料金です。
夜間に月額350kWhを使うとして試算例
オール電化住宅、従来の電化上手(2016年3月末までの契約)
350kWh×12円16銭(23:00~7:00の料金)=4,256円
ENEOSでんきに変更した場合
120kWh×20円76銭+180kWh×23円26銭+50kWh×25円75銭=7,193円
差額2.937円です。
もちろん今回は概算で、夜間使用量だけの料金です。
電化上手は昼間の料金設定が高いので、昼間はENEOSでんきが安くなります。
さらにNEOS電気にはENEOSカードを使ってガソリンを入れると割引があるなどの特典があるので一概には言えません。
今の電力会社の新プランでは
オール電化の電気料金が自由化後も安くならない理由は、現在すでにとても安い夜間電気料金を使っているからです。
オール電化はご家庭内のすべてのエネルギーを電気に統一しているため、ガス料金はかからず電気料金だけ。
そのため最初から大量の電気が必要という前提で、電気料金が一番安い深夜電力の消費を一番多くするようになっているのです。
深夜料金の時間帯にお湯を沸かしたり蓄熱をしたりすることで、結果的に電気料金の節約になってきました。
従来のオール電化家庭向けプランは、知らず知らずのうちに電気料金が一番安くなるように設定されていたのです。
そのため2016年の電力自由化で、新規事業者(携帯電話会社やガス会社など)が新しく参入してきても、今以上にお値打ちな電気料金はどこも提供してくれません。
2017年1月、現在で新規事業者のうち「オール電化家庭向けプラン」と出しているところは1社もないというのが現状です。
新電力会社が提案している料金プランのほとんどは、一定量以上の電力を消費したらこれまでの電力会社よりも電気料金がトータルでお安くなるスタイルが中心です。
さらに新規事業者の料金プランはほとんどが24時間一律料金。
つまり深夜電気料金に該当するものがないので、オール電化が安く電気を使える時間帯がありません。
オール電化のご家庭は新規事業者に切り替えても、安くなる可能性は低いでしょう。
オール電化のご家庭にとっては、電力自由化以降もこれまでと同じ電力会社を使い続けるのがお得な可能性が高いです。
ちょっと納得ができない話ですが、これまでの料金がほぼ最安値と言われれば、どうしようもありません。
まとめ
今後、オール電化向けの料金プランを提供する新電力が登場するかもしれませんが、現状だとオール電化のご家庭は電力自由化での新電力への切り替えはしないほうがいいと言えます。
電力自由化以後、電力会社は料金だけでなく、付加価値で選ぶ時代に突入しています。
この付加価値には、ポイントなどの金銭的なものはもちろん、地球に優しいなどのポリシーに関係するものもあります。
自分の、ライフスタイルに合った電力会社を賢く選択して下さい。