突然だが、あなたは先月の「電気使用量」「電気料金」は覚えているだろうか。まだ手元に電気請求書があるならば、是非確認していただきたい。
なぜなら、「電気使用量(kwh)」「電気料金(円)」の下二桁が指定される数字と同一だった場合、商品がもらえる『エネくじ』というサービスがあるからだ。そんな今までにないサービスを打ち出し、独自のマーケティングを実践している会社が「みんな電力株式会社」(東京都・世田谷区)という新電力だ。
同社は新電力として「電源開発事業」「新電力事業」「パーソナルエネルギー事業」「次世代エネルギ―事業」を柱とした事業展開を行っており、事業を加速させている。2016年4月の小売り全面自由化開始まで1年を切り、電気市場が大きく変わろうとしている中、独自サービスを展開し続けている同社は、今後どういった展開を行う予定なのか大石氏(同社、代表取締役)に話を聞いた。
4つの事業を展開
「電源開発事業」「新電力事業」「パーソナルエネルギー事業」「次世代エネルギー事業」
電源開発事業
「太陽光」「小水力」「バイオマス」等の発電所建設から運営ノウハウまでを、コンサルティングサービスとして提供し、電気を作りたい方に対してアドバイスをしている。
新電力事業
自社の発電所や連携している発電所から電力を調達し、お客様に提供する。みんな電力の特徴としては、通常では知りえない発電者や発電種別を「顔の見える電力」として情報開示し、生産者と利用者を電気を通じてつなぎ合わせる。電気料金は安いに越したことはないが、昨今注目が集まっている発電種別や地元地域への貢献、環境志向の強い顧客層は、多少料金が高くても受け入れてくれると思っている。
「顔の見える電力」を可能にするのは、自社用に開発した電力小売りシステム「エネクション」だ。セールスフォース・ドットコムのクラウドサービスを利用して、小売り事業に必要な顧客管理や料金計算などの必要機能を揃えた。大手システムと比較すると導入費用やランニングコストが大幅に落とせる点と、「顔の見える電力」という特徴的な機能を有しており、他PPSへのライセンス販売を2016年4月から予定している。また、今後参入するPPSに対しては、「エネクション」と小売り事業のノウハウを展開して、新電力の立上げコンサルティング事業も行う。
パーソナルエネルギー事業
「solamaki」など、個人で発電できるツールも開発および販売、電気代気づく化企画「エネくじ」、女子サークル「ジョシエネ」など、コーポレートスローガンでもある「一人ひとりが電気を創る」をテーマに事業を展開している。
次世代エネルギー事業
産官学共同で「コミュニティ型ベランダソーラー」の研究開発・普及の実証実験等を行っており、「電力カラーリング」や「無線送電」など研究開発を進めている。
高圧も低圧も提供していく
高圧電力の提供を開始する。具体的には本社が入っている「世田谷ものづくり学校」の電気提供を2016年2月から提供開始予定だ。電源としては、世田谷区・渋谷区の太陽光発電から調達し、不足分についてはバックアップの契約を行い電気提供する。都内で発電した電気を都内で使う「都産都消」としては、恐らく初の実施事例となり多くの自治体に対するモデルケースになると思っている。自治体以外でも地元で発電した電気を使いたいと言うビルオーナーさんなどもいて電源種別や発電地域を見せることによって、ユーザーの要望を叶えられる点は非常に嬉しいことだ。実際、地方に行った際には、地元で発電した電気を使いたいという声を多く聞くことがあり、世田谷区を前例として全国に広げていきたい。
自由化開始後の取組は
選べる電気には「選べる」「特典が付く」「人とつながる」「地元への貢献」の楽しさがある
1点目は「発電者の見える化」という価値を多くの人にわかってもらう事だ。みなさんに価値を理解してもらうには、魅力的な発電所を増やす事が課題であり、多くの発電所を開拓する事が出来れば、自ずとサービスが認知され価値を見出してくれる方が増えると思っている。「電源開発事業」で培った発電所建設から運営までの知識を展開し、魅力的な発電所を増やす手伝いをみんな電力がワンストップで担い、地域復興や雇用創出など関わった地域や人が幸せになっていく循環ができればと考えている。
2点目は、一般電気事業所を中心とした既存発電所の「見える化」だ。発電所という観点で言えば、規模こそ違えど、個人が運営する発電所と同じであり「顔の見える電力」化は可能だと考えている。このように考えるようになったのも、一般電気事業者の火力発電を視察した際、現場で働く方の「安全面」「地域との関わり」「環境配慮」「安定供給」などに対する想いに強さに感銘を受けたからだと思う。電力業界全体を巻き込み「顔の見える電力」ができればと考えている。
自然エネルギーの利用でCSRを。
海外の大手企業を例に挙げると、事業所の電気は全てグリーンエネルギーで賄っていたり、事業所があるエリアで発電した電気のみを使っている企業が増えてきている。日本企業も太陽光を運営して電力を賄うなどの環境面でのCSR活動は増えてきているが、多いとは言えない。そこで「顔の見える電力」を活用してもらい、地元で発電した電気のみ・自然エネルギーのみを利用するなど、環境配慮の側面からCSR活動の助けができると思っている。日に日に電源種別の関心は高まっている点を考慮しても、我々から積極的に呼びかける事で賛同してくれる企業はいると思っている。
(energy-navi編集部・佐藤洋平)
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みんな電力株式会社
代表者 大石 英司
所在地 東京都世田谷区池尻2-4-5 世田谷ものづくり学校210教室
設立 2011年5月
Web :http://minden.co.jp/
FaceBook :http://www.facebook.com/enetomo
Twitter :http://twitter.com/minden_PR
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