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電線を支える鉄塔と電柱・5

鉄塔

鉄塔と電柱その5

地中送電線と架空送電線はどう違う

『地中送電線にはこんなメリットがある』

送電線は、主に架空送電線が使われていますが、地中に埋設する地中送電線もあります。
この地中送電線は、その構造から地中に埋設するため、架空送電線に比べて、
雷、風、雪害などの自然現象や外部からの接触などによる事故は発生しにくいという特長があります。

そのため、供給に対する信頼度が高く、周辺環境に対する影響も少ないため、
とくに大都市周辺では、用地の事情や保安、美観などの理由で地中送電線が採用されています。

しかし、建設のための経費が高く、万一事故が発生したときには、事故箇所の発見やその復旧に時間がかかります。
また、架空送電線に比べて最大送電電力量は小さくなります。
地中送電線を布設するルートは一般に道路が利用されるため、幹線道路の多い都市部に限定されます。

地中に埋設する電線には電力ケーブルを用いますが、電力ケーブルの技術開発の進歩により、現在50万ボルトの送電も実現されています。
電力ケーブルの構造は、電流を流す導体とそれを取り巻く絶縁層、および絶縁層を保護し、化学的腐食を防ぐための外層からできています。
ケーブルに電流が流れることによって、発生する熱は電力損失になりますが、この発熱を抑えると効率よく電気が使えることになります。
大容量の地中送電ケーブルや発電所の変圧器が冷却に努めるのも、効率よく電気を使うためです。

大型の地中送電ケーブルにOFケーブルがあります。
このケーブルは送電線を筒(防食した鋼管)で囲み、筒の中へ油を入れて電線を冷却し、さらにこの油をポンプで循環させて冷却の効果を高めています。
ケーブル線路は、地中だけとは限りません。
瀬戸内海をわたる本州と四国を結ぶケーブルは50万ボルトのOFケーブルを、瀬戸大橋を使い22キロにわたり架設してあります。

 

送電線ネットワークの働き

『一方の経路を、他方の経路が守る多回線併用方式』

送電線は、単に発電所と家庭をまっすぐ結ぶのではなく、電力系統と呼ばれる巨大なネットワークを形成しています。
ここでいうネットワークとは、網の目のように張り巡らした送電線路の状態をいいます。
複数の発電所によって発電された電気は、このネットワークにより、広い範囲の需要家(電気を必要としている場所)に供給されています。
ネットワークのどこかで事故が生じた場合、それらを放置しておくと、単にその地域で停電になるばかりでなく、全体へ事故が波及してしまいます。

このような状態を防ぐため、中央給電指令所というところで、電力の供給状態を総合的に監視・制御しています。
また、発電所から電力の大消費地である東京、名古屋、大阪などの大都市へ電力を送る場合には、これらの都市の周辺に、
まず電圧を下げるための一次変電所を置き、それらの変電所をリング状に超高圧送電線に結びます。
そして電力をこの一次変電所から都市内部の需要家(電力消費場所)に送ります。

都市は、高層ビルや大病院など常時重要な電力を必要とするため、送電経路の故障は影響が大きく停電は避けなければなりません。
そのため、電力が送られてくる一方の経路で事故が起きたときでも、他方の経路から電力を送ることができるようなしくみができていて、
常に安定した電力供給を継続できるようになっています。これを多回線併用方式といいます。

 

地中送電線では共同溝(ガスや水道などと併用)などがあるため、この多回線が確保しやすいのです。