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電力自由化を斬る!第一弾~電力自由化のカギはO2Oだった~

Beautiful cloudscape over the sea

2015年9月現在、50社以上が新電力としての小売販売申請を行っている電力自由化市場。市場規模は7.5兆円と言われ、一気にこれだけの規模の市場が開放される例はほとんどありません。しかし、いくら市場規模が大きいとは言え、新規参入して莫大な利益を上げることは難しいとも言われています。

まずはどれだけの人が電力会社を乗り換えるか、が焦点

市場が開放されると言っても今の一般電気事業者(東京電力・関西電力など)がなくなるわけではありません。全国に10社ある一般電気事業者から新電力に乗り換える人がいなければ現在の体制と全く変わりません。

では、実際どれくらいの人が乗り換えることになるのでしょうか。経済産業省・資源エネルギー庁が行ったアンケート調査では、54.4%の人が電力自由化後に電力会社の乗換に前向きだとしています。つまり、多めに見積もって約半分の人が電力会社の乗り換えを検討することになります。そのうち、半分が実際に乗り換えるとすると全体の25%が新電力と契約することになります。この電力会社を乗り換える層に対しての顧客囲い込みが新電力の急務の課題になります。

電力乗り換えを決定する層を考える

電力会社の契約は一過性のものではありません。少なくとも1年単位で契約することになるでしょう。しかも、契約は1世帯につき1契約。そうなると、電力会社の乗り換えは家族で話し合って決める重要な事項になることでしょう。

つまり、新電力として新規顧客を獲得するためには、電力乗り換えの決定権をもつ人へのアプローチが必要不可欠になるのです。世帯主やその配偶者がターゲットになってきます。10代20代と言ったデジタルネイティブの層がメインターゲットでないことは明らかです。インターネット上だけでの展開による顧客獲得は難しいと思われます。

O2Oの活用で、全日本国民をターゲットに

インターネット偏重の戦略では失敗する可能性が高いことがわかりました。そこで、登場するのがO2Oという考え方です。


おー・つー・おー【O2O】

“online to offline”の略です。直訳するとオンラインからオフラインへ。マーケティングの考え方で、オンラインで興味を持ってくれた顧客に対してオフラインでの契約に持ち込むことです。具体的な例でいうと、オンラインで商品を比較してオフラインの量販店で購入するといったものや、オンラインでクーポンを配布してオフラインの店舗に来てもらうといったものです。

O2Oの考え方を駆使すれば、電力乗り換え促進につながります。インターネット上での契約に不安のある人が契約だけ対面で行ったり、電力会社をインターネット上で比較して、目ぼしい電力会社の店舗に行ったり、いくつもの方法が考えられます。具体的な企業で考えてみましょう。

楽天はカフェを活用か

ECをメイン事業とする楽天今年の初めにカフェをオープンしました。この楽天カフェでは、ECで販売しているすいーつを食べたり、楽天モバイルのSIMカードの契約ができたりします。電力の契約もここに組み込まれると思いますが、カフェで説明を聞いてネットで契約するという逆のパターンも考えられます。

主婦をターゲットにするならイオンなど大手スーパーか

アンケート調査では、母親が電気契約の決定権を持つ家庭が父親に次いで多いという結果がでました。主婦をターゲットするならスーパーより強い会社はありません。実際、イオンが扱っている格安SIMは契約数をのばしていますね。インターネットに抵抗のある40代以上の女性への売り込みは可能性が高いでしょう。これもO2Oの典型例といえます。

ヨドバシ・ビッグカメラでも乗り換えを促すか

家電量販店も黙ってはいません。大手の家電量販店、ヨドバシカメラやビッグカメラなどは店頭で電気を比較検討できるカウンターを設置することでしょう。インターネットのプロバイダ契約と同じく商品券のキャッシュバックなど特典を充実してくるのではないでしょうか。家電と電気は親和性が高くスタッフの教育なども容易だと考えられます。

このように少し考えただけで、電力×O2Oの可能性は無限に広がりますね。上の例のどれだけが実現するかまだわかりませんが、各社独自性を出した戦略を用意してくるのでは無いでしょうか。