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電力自由化に向けて躍進する東京ガス

電力自由化は難しい?

電力自由化へむけ非難増加!

4月の電力小売りの全面自由化に絡んだ消費者の苦情や相談件数が急増していることが4日、明らかになりました。国民生活センターに寄せられた悪質な訪問販売などに関する通報は、年明けから3月3日までで325件に上りました。2015年4月からの累計は435件で、大手電力や新規参入事業者が料金プランを発表し、販売キャンペーンを始めた年明け以降に増加しています。国民生活センターによると、主な相談事例は「電力会社を名乗る人物からの紹介で業者の話を聞いたら、給湯器の勧誘だった」「自由化で電気料金が上がると説明され、高額な太陽光発電システムの購入契約をしてしまった」などです。最近は「携帯電話の修理の書面と思って署名したら、電気契約を結ばされていた」といった事例も増えているといいます。同センターが2月12日に発表した年明けからの苦情・相談件数は98件(2月9日時点)となりました。2月中旬以降、政府が自由化に絡んだ詐欺行為などへの注意喚起を本格化させていることも、通報が増えた一因になっているとみられる。経済産業省の電力取引監視等委員会は2月、国民生活センターとの間で消費者トラブルを防ぐための連携協定を締結しました。相談内容を共有し、事業者への監視体制を強化していく方針です。

そんな中躍進している東京ガス!  

躍進の理由は何なのか?

自由化で主戦場になるのは、全国の電力需要の3分の1を占める首都圏です。東京電力や新規参入者の先行予約がすでに始まっているが、契約切り替えのうち、実に3分の1を東京ガスが占めています。“前哨戦”で先行した東ガスの人気の秘密はどこにあるのでしょうか?「電気の申込件数が5万4000件に達しました」。先月24日、東京ガスはこんな発表をしました。経済産業省の認可法人によれば、東京電力管内で契約を切り替えたのは2月19日時点で16万4000件です。この時点で電力契約を切り替えた人のおよそ3分の1が東ガスを選んだことになるといえるでしょう。16万4000件の中身は東電の新メニューを選んだ人も含まれる(実数は公表せず)ため、東電との比較は難しいが、少なくとも新規参入者の中では、東ガスが今のところ最も顧客獲得に成功しているといえそうです。「これまで安心してガスを使ってきたから、電気も任せたいと思った」。東ガスが先行予約を開始した1月4日。申し込み第1号となった東京都町田市在住の男性は、東ガスを選んだ理由をこう説明する。戸建て住宅で妻と3人の子供の5人家族。ガスとセット割にすることで料金もお得になると感じたようです。東ガスが選ばれている最大の理由は、なんといってもガスとのセット割だといえるでしょう。東ガスによると「大半がガスとのセット割を選んでいる」(幹部)。例えば戸建て住宅3人家族(電気の月使用量392キロワット時)でガスとのセット割を選ぶと、東電の従来料金と比べ電気代が年間約8500円お得になるといいます。電気とガスの支払いが一括で済むといったメリットもあります。2月1日には料金の追加値下げを発表するなど、東ガスは積極的に販売攻勢を仕掛けています。だが、セット割に関して言えば、通信会社や石油会社といった他の新規参入者も相次ぎ割安なメニューを打ち出しています。

さまざまな新規プランが登場!

なぜ東ガスは先行できたのか?

東ガスが先行できた大きな理由としては、都市ガス会社ならではの「営業力」だといえるでしょう。東ガスは首都圏にグループのガス器具販売店「東京ガスライフバル」を200超も抱えています。ガス器具の保安業務などを通じてこれまでに顧客と密接な関係を築き、営業担当者は家族構成なども把握しているとされています。こうした営業担当者が直接訪問し、顧客獲得につなげているのです。契約第1号の町田市に住む家庭も、販売店が直接訪問して契約にこぎ着けました。各社からさまざまな料金プランが発表され、消費者も混乱を招きやすくなっている現在では、東ガスは営業活動にあたっては、これまでのブランドを毀損しないよう、顧客への説明が分かりやすくなるよう改善に努めています。例えば、東ガスは途中で他社に乗り換えても解約金が発生しないスキームを採用し、「契約期間に縛りがない」点をアピールしている。ただ、解約金がないのは東ガスだけではなく、複数の社も実施しているため、「当社だけが解約金がないという誤解が生じないよう正しく説明していると言います。来年4月には都市ガスの小売り全面自由化が始まり、一転して東ガスは守勢に回ることとなります。とくに東電は「ガスの全面自由化が始まってからが戦いの本番だ」と、都市ガスと電気のセット販売で反転攻勢に出る構えで、東ガスと全面戦争に突入することになりそうです。東ガスは2020年に首都圏の電力需要の1割を取り込むのを目標としています。ガスが全面自由化される来年4月までにどれだけ顧客を獲得できるかが、目標達成の鍵を握ることとなるでしょう。