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配電設備の構成

配電設備

配電設備の構成

配電系統の送電線経路は、電気の流れの違いから樹枝状方式、ループ方式、ネットワーク方式に分けられます。
また、線路の張り方の違いから架空配電方式と地中配電方式に分けられます。

『樹枝状方式』

高圧配電線は、一般に樹枝状で運用されます。
その方法は、変電所から出た配電線をフィーダ、幹線、分岐線と区分けし、1箇所の変電所から電力が負荷に向かって一方向に供給されるしくみです。この方式は以下のような特徴があります。

①構成が単純であり、建設費が安価である。

②需要家増に対して、容易に対応が可能である。

③ほかの配電方式と比べると、供給信頼度が低い。

『ループ方式』

事故が発生したときに、事故区間のみを切り放し、ほかの区間は無停電で電力供給できる方式をループ方式といいます。この方式は以下のような特徴があります。

①故障が発生しても、その区間を除いて健全部には常に電力が供給される。

②電力供給信頼度が高い。

③常時閉路式では、電圧降下や電力損失が軽減される。

『ネットワーク方式』

この方式は、電力会社の変電所から複数の回線の特別高圧配電線で受電して、配電線が1回線停止したときにも停電することなく、残りの回線から電力供給できるしくみです。この方式の特徴は次のようになります。

①電力供給信用度が非常に高い方式である。

②建設費が高い。

③負荷密度の高い地域に採用される。

 

集合住宅やビルなど、比較的大きな電力を必要とするところでは、6,600ボルトの高圧のまま電気を施設内に引き込み、施設内で負荷に適した電圧に変えて利用しています。
このように、需要家に設置される安全で経済的に電気を使用するための設備を総称して「自家用電気設備」といいます。
いわば小規模な変電施設と言ってもいいでしょう。また、この自家用電気設備の中に設置される機器類は「電気工作物」の仲間です。

一般に自家用電気設備は、電力会社の電気供給規則によって、受電電力が50キロワット以上2千キロワット未満の設備が対象となります(家庭の電力は一軒あたり3キロワット)。
自家用電気設備は配電の重要設備であり、その中心的なものが受電設備と変電設備です。
それぞれ業種に合わせて、低圧で受電するものから高圧や特別高圧で受電するものがありますが、もっとも多いのは高圧で受電する設備です。

なお自家用電気設備に使われている機器は、そのほとんどが変電所に使われている機器と同じです。
変電所と自家用電気設備は、扱う電圧が違うだけで、機能的には同じなのです。

自家用電気設備の主要機能

自家用電気設備は、大きく分けて次の3つの機能をもつ機器で構成されています。

『電気回路を開閉および保護する機能』

電力を受電・変電して負荷に送っている回路を、運転中に必要に応じて開く、あるいは閉じる機器(開閉機器)で、電気回路の中で最も重要な機器になります。開閉機器には電気回路の中で必要な部分だけを切り放す場合のみ使用し、負荷電流が流れている際には切り放すことのできないものがあります。断路器がこれに相当します。

また、事故の際、その事故の範囲を最小限に止めて損害を軽くするため、事故による信号を検出して自動的に電気回路を開いて負荷となる機器を保護する開閉機器もあります。短絡電流のような大電流を遮断する遮断器がこれに相当します。電力用のヒューズや決められた量以上の電流が流れたとき動作する継電器も関連します。

 

『電力を負荷に適した大きさに変える機能』

電力会社から送られてくる電力を、使用する機器(負荷)に適した電圧の大きさに変えて供給する機能です。
電圧を変える変圧器や、電気回路の力率を改善する進相コンデンサなどがあります。
また、電気回路の電圧・電流・電力などを測定するための計器用変成器なども含まれます。

 『監視や制御の働きをする機能』

設備が正しく動作しているかを監視し制御する機能も大切な要素です。
電圧計、電流計、電力計などの指示測定器や機器の状態を知らせる表示灯などの監視機器がそれにあたります。このほかスイッチ類や開閉器の制御をする制御用継電器も含まれます。

 普及するキュービクル

自家用受電設備は、設置場所によって屋外式や屋内式、そしてキューピクルなどの形式があります。

キューピクルは、キューピクル高圧受電設備の略で、高圧の受電設備をコンパクトな鋼板などの金属板またはコンクリート材などで囲った構造のものを指します。
開放形に比べて設備がコンパクトになり、少ないスペースで容易に設備できる特長をもっています。

また、金属箱で可動部分がないので劣化しにくく、キューピクル自体が事故原因にはなりにくい面と、メーカーの工場内で組み立てられた後、現場に運搬され据え付けられるため信頼性が高く、安全性も確保できます。そのためビルディング、工場などで土地、建物が有効に利用できるため、広く普及しています。これらがキューピクルの長所です。

しかし、一方では放熱性が低下するので、変圧器、コンデンサなどは外部に設置する場合もあります。
キューピクルは保守という観点からみると、屋上や地下室、構内の一角などに設置されるため、保守点検が困難な面もあり、作業中の事故にも気を使わなければなりません。

高圧受電設備の電気配線図

電気設備の中で、それぞれの機器がどのように接続されているのか、配線のようすを示したものが電気配線図です。
電流がどのような経路で流れているのかを知るためには、この配線図が必要になります。電気配線図には、実物どおりに機器を絵に描く実体配線図と、Jis記号で描く記号配線図があります。