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送電に課された役割とは・2

送電

送電の役割その2

長距離直流送電のメリット

『交流送電のほぼ1.4倍の電圧による送電が可能な直流送電』

電力の送電に関しては、交流でなければならないと考えがちですが、直流による送電方式というのも実際に行われています。
直流送電でも発電機からは交流の電圧が出ますから、送電のスタートは変圧器で電圧を上げることから始まります。

そしてこの交流電圧を、コンバータ(交流直流変換装置)で直流に変換して送電線で長距離を輸送します。
なお、電気を使う需要家側では交流が必要ですから、受電する場所で今度はインバータ(直流交流変換装置)で交流に変換し、変圧器で電圧を下げて供給するのです。

それでは、直流送電というのはどのようなメリットがあるのでしょうか。

直流送電のメリット

直流の電気は大きさが一定の電流が流れますが、交流の電気は大きさや方向が絶えず変わります。
そして交流の電圧が最大の大きさになるときの値を最大値といいますが、一般に交流の大きさをいうときには、この最大値では表わさず、実効値と呼ばれる値を使います。

交流の実効値とは、交流を流した場合と直流を流した場合を比べて、等しいエネルギーを伝えるときの交流の値のことで、最大値を岬(約1.4)で割った値を考えればよいことがわかっています。
たとえば、直流100ボルトと交流の100ボルトは同じエネルギーを伝えますが、この場合の交流電圧は実効値であって最大値ではありません(最大値は140V)。

 

ところで、送電線を支える設備は、安全のために最大値に合わせて建設されますが、実際に送電するのは最大値より低い実効値ということになります。
つまり交流送電と同じ規格の設備で直流送電にした場合は、交流の1.4倍の電圧送電が可能になるわけです。
近年送電線から出ているといわれる電磁波の問題も、直流では電磁波が出ないので環境にやさしい送電ということになります。

 送電に有利な三相交流

『三相交流で電力を送ると、たいへん経済的』

発電所の発電機は、3系統の電気を起こす三相発電機が使われています。
一方、家庭や事務所のコンセントで利用する電気は、単相交流電源です。
発電所から送られる電気は、家庭に届く直前までは三相交流で送られてきています。

どうして三相のままで送電されるのか

この理由は、三相交流の特徴にあります。
三相交流は、3系統の送電線の戻り線を1本にまとめると、そこには電流が流れなくなり、戻り線を省略して3本の電線だけで送電できるメリットをもっているのです。
ですから、三相交流で電力を送ると、送電線の数が減らせてとても経済的なのです。実際に身近な電柱に張られた電線を見ても、3本の電線が張られているのがわかります。

また、三相交流は、回転磁界を簡単につくれる利点をもっているため、工場などでモータを回転させるにはとても都合がよいのです。
モータの大きさが同じなら、三相のほうが大きなパワーが出せるというメリットもあります。

なお、三相交流の3本の送電線(または配電線)のうち、どの2本を選んでも同じ電圧の単相交流を取り出すことができるのも特徴です。

その3へ続きます。