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送電に課された役割とは・1 

送電

送電に課された役割を考えてみる。

発電で生み出した巨大な電力を、いかにロスなく経済的に消費地に届け、役目を終えた電気をまた発電所に戻すか、それが送電に課された役割と言えるでしょう。

送電とは何か

では、そもそも送電とは何を指すのでしょうか。
発電所で発電した三相交流電力を需要地に輸送するため、発電機から電気を最初に送り出す経路にある電線路や設備を「送電設備」といいます。
送電設備の中心になるのは、送電線路とこれらを結ぶ変電所です。
そして送電線路を構成するのは、高電圧・大電流を流す送電線および送電線を支える鉄塔や、送電線の絶縁を保つためのが石柱などです。
また、変電所を構成するのは、大型の変圧器、遮断器、断路器、避雷器などです。

「送電」というのは、発電所と変電所をつなぐ、また変電所と変電所をつなぐ主要な電力の輸送区間を指す言葉です。
変電所から家庭や工場、ビルなどの需要家に電力を届ける区間は配電といって送電とは区別されます。
ただし、変電所を出て、直接需要家に入る区間の場合であっても、電圧が6万ボルトを超えていれば送電線の領域として扱いますし、
大病院など停電を避けなければならない需要家に、ループ方式で電気を届ける場合も、送電線路として扱います。

送電ではどうして電圧を高くして送るのか

発電所でつくられる電気は、27万5千ボルト~50万ボルトという高電圧です。
この電圧がそのまま家庭に届いたら大変ですから、送電の途中にある変電所で徐々に電圧を下げて、
最終的には電柱に設けられた変圧器(トランス)で100ボルトや200ボルトに変換されて家庭に届きます。
最初から低い電圧で送ればよさそうなものですが、そうできない理由があるのです。

発電所から送られてくる電力は、送電線を流れるときに一部が熱になって失われてしまいます。
これを電力損失といい、送電線の電力損失は、流れる電流が大きいほど大きくなってしまうのです。
ですから、電力損失を減らし、消費地までに失われるエネルギーロスを極力少なくするには、送電線に流れる電流を減らす必要があります。
電力は、電圧と電流を乗じたものですから、電流を減らして同じ電力を得るには、結果的に電圧を高くする必要があるのです。
また、電流を少なくすると送電線は細いものでよくなるので、送電設備の建設費の面でもメリットがあるのです。

なお、送電には、電気は直流で送ったほうが有利なのですが、変圧器で簡単に電圧を上げ下げできる交流が広く利用されています。

その2へ続きます