電気を保存することはできません。
基本的に発電してから使用されるまでの間電気の量は減り続けています。
そのため、できるだけ需要に合った量だけを発電して即時的に使用するという考え方が一般的です。
しかし、その考え方は再生可能エネルギーには向きません。
風力発電でも太陽光発電でも天候の影響を受けるため、発電量が多い時と少ない時ができてしまいます。
超電導ホイールはそんな再生可能エネルギーでもほとんどロスなく貯蓄できる技術として注目されています。
超電導ホイールのしくみ
超電導ホイールとは発電した電気をロスなく保管することができるシステムです。
「超電導とは」で紹介したとおり絶対零度に近づけばその中を流れる電気に対する抵抗はほとんどなくなります。
この超電導ホイールも超電導の原理を利用しています。
超電導ホイールは回転する構造となっています。
発電した電気をこの超電導ホイールに流すことによってホイールが回転します。
つまり、電気を一度運動エネルギーに変えてしまいます。
一度電気を流して回転を始めたホイールは磁力によって浮上して回り続けます。
そのため、回転軸が劣化する心配も摩擦による抵抗もありません。
このようにして運動エネルギーへと変えられたエネルギーを再び電気に変えることによって貯蓄することを可能としています
先月、超電導ホイールの実証機が完成
2015年4月、この超電導ホイールの実証機が完成しました。
実証機は公益財団法人鉄道総合技術研究所が中心となって開発が進められていたものです。
今回完成した実証機は、出力300kW、蓄電容量100kWhで、
内蔵したCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製のフライホイール(重量4トン、直径2m)を、最高6,000回転/分で超電導磁気軸受により回転支持するもので、世界最大級の大きさでした。
再生エネルギーによる発電を安定したものにするために効率の良い蓄電システムの開発は必須です。
もし、このような蓄電システムが実用化されると再生可能エネルギーの普及の速度も速くなるでしょう。