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総合エネルギー化を需給の両サイドから考える

総合エネルギー

需要サイドが促す新たな総合エネルギー化

供給サイドの総合エネルギー化は、エネルギー産業の海外進出を考えた場合競争力強化の重要な手段となります。しかし、今後より注目したいのは、需要サイドのニーズを起点とした総合エネルギー化です。

 

工場、オフィスビル、住宅などすべての需要家が求めているのは、エネルギーを効率的に賢く使用することです。そのためには、エネルギーの垣根にとらわれず、各々のエネルギーの長所をうまく使い分ける必要があります。また、資源価格の変動や震災などを考えると、1つのエネルギーに依存しすぎることはリスクとなります。一方で、コジェネレーション、燃料電池、ヒートポンプ、再生可能エネルギー、分散電源などのエネルギー源、エネルギー技術が多様化しているから、需要家のエネルギー選択の手段は増えています。

こうした需要家のニーズに応えようと、エネルギー供給事業者の側も複数のエネルギーを使いこなそうとしています。すでに、ガス会社や石油会社では複数のエネルギー源や技術を使用し需要家のエネルギーニーズに応えています。

日本のように需要が減退する市場では、需要サイドのニーズへの対応が重要となるため、こうした動きは一層広がるはずです。

 

需給間の合従連省が進む

「需要サイドに注目すべき」とするもう1つの理由は、需要サイドのビジネスが発達することが予想されるからです。

たとえば、ESPが効率的にエネルギーに調達するためには、市場をうまく利用するだけでなく、能力のあるエネルギー供給事業者と連携することが重要になります。方や、需要サイドでもビジネスの収益性を上げたり、サービスのバリエーションを増やすために、エネルギー供給を事業範囲に取り込もう、と言う意向が強まります。

エネルギー供給事業者にしても、需要が減退する市場で、価格本位で需要家の選択にさらされてはかないません。安定した需要を確保することは収益向上には欠かせません。また、発電市場が過当競争になることを考えると、需要を握った事業者が大きな影響力を持つことも避けられないでしょう。

供給側から見れば、需要サイドの事業者と手を組むことはメリットがあると言う以上に、必須のテーマと言えます。

 

こうした需給双方のニーズを受け、今後は需要サイドと供給サイドの合従連衝が進むことになるでしょう。すでに、素地は整いつつあります。たとえば、マンション高圧一括受電の事業者は、現段階でも数多くの需要家を束ねています。こうした事業者と安い電力を供給できるPPSや再生可能エネルギーを供給できるPPSが連携すれば双方にとってもメリットがあります。

 

これらはエネルギーの種類を越える水平面内での総合エネルギー化が需要サイドと合従連衝することで立体的な展開を呈するようになることを意味しています。しかし、総合エネルギー事業の進化はこれだけではありません。需要サイドでは住宅、不動産、電機、自動車、そしてIT事業者などの異業種との連携が進むのです。

 

このように、自由化、技術革新、需要サイド市場の盛り上がり、などを受けて、2020年の総合エネルギー事業は多次元的な発展を目指すことになるでしょう。そこで成長するには、自らの強みとなる軸足をきちんと定め、多角的な視野でWIN-WINな関係を築ける提携先を見出すことが必要となってくるのです。