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火力発電の仕組み・3

火力発電

蒸気タービンのしくみ

のどかな風景を感じる谷間の水車も、丘の上の風車もどちらもタービンの仲間です。

これらはいずれも車軸の周りに羽根を取り付けて、それで水や風の力を受けて回転力を生み出しますが、水車と風車では羽根の形状が大きく違います。

これは、水や空気といった流体のもつエネルギーを最大限に受け取ってタービンの回転エネルギーに変えられるよう、羽根の形状を流体の種類に合わせて変えているためです。

つまり、タービンの性能を良くする鍵は、羽根が握っているとも言えるのです。

火力発電所の蒸気タービンの場合は、水や風の代わりに蒸気を使ってタービンを回します。蒸気は気体ですから、水よりはるかに軽く、しかも噴き出す速度が風とは比べ物にならないほど大きくなっているので、羽根車の形は水車や風車とはまったく変えなければなりません。

たとえば、蒸気タービンの羽根車の羽根は、水車よりも密にたくさん植えてあります。

また蒸気が膨張しながら1列の羽根に当たって仕事をしたあとでも、まだ大きなエネルギーをもっているので、羽根を数段から数十段も置いて次々に蒸気を当てるようにしています。

さらに蒸気タービンは、羽根に当たる蒸気の速さが大きくないと効果を十分発揮できないので、結果として車軸の回転は速くなります。そこでタービンにっながる発電機は、直径を小さく長さを長くして高速度回転に耐えるようにしてあります。

そして蒸気タービンでは、羽根の後ろの段になるほど蒸気が膨張するので、蒸気の通路を大きくするため、羽根の長さも後ろの段になるほど次第に長くしていかなければなりません。

そのためタービンを包むケース(ケーシング)の直径も次第に大きくなります。蒸気タービンを一体につくるのが困難な場合は2個または3個に分けるのが一般的で、蒸気タービンの図が末広形になっているのはこのことを象徴しているからです。