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有機薄膜太陽電池の研究に進展

有機薄膜太陽電池

近年太陽光発電の導入が進み、企業がメガソーラーを建設したり、一般家庭も自分の家の屋根にソーラーパネルを設置しているところが徐々に多く見受けられるようになってきました。

そんな中、塗って作れる太陽電池

「有機薄膜太陽電池」

の変換効率を10%にすることに理研が成功したとのことなので紹介します。

 

有機薄膜太陽電池とは

その名の通り、「薄い膜でできた」太陽電池です。具体的には有機半導体を発電層として用いた薄膜太陽電池の総称であり、特に有機半導体溶液を塗布して作製する有機薄膜太陽電池を

塗布型OPV

と呼びます。塗布プロセスによる大量生産が適用できると同時に、安価且つ軽量で柔らかいことから次世代の太陽電池として注目を集めています。

 

有機薄膜太陽電池の背景

有機薄膜太陽電池のメリットは前述した通りですが、この有機薄膜太陽電池の実用化の一番の課題は変換効率です。これまでは十分な変換効率を達成できていませんでしたが、最近では一部の国内大手企業や欧州のベンチャー企業などがエネルギー変換効率10%を達成していました。しかしその技術はほとんど公開されていなかったため、どのような技術を用いれば10%以上の変換効率を手にすることができるのかを明示することが今後の有機薄膜太陽電池の普及のためには至上命題でした。

 

有機薄膜太陽電池の研究手法と成果

半導体ポリマーとフラーレン誘導体を混合して作製した発電層の厚さを従来の150ナノメートルから300ナノメートルと2倍にすることで電流密度が大幅に増大し変換効率が約6%から約8.5%程度まで向上することが分かりました。さらに従来のOPV素子の陽極と陰極の配置を入れ替えた逆構造素子を適用することで、変換効率を10%の向上させることに成功しました。

これまでも半導体ポリマーの分子配向様式を制御することが重要であることはよく知られていましたが、今回初めてOPV中において半導体ポリマーの配向様式に分布があること、さらにこれに合った素子構造に改善することが効率向上の鍵であることが明らかになりました。

今後さらに研究が進み、塗るだけで発電できる有機薄膜太陽電池が普及するといいですね!