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改正電気事業法が成立! 発送電分離を知るための4つのポイント

発送電分離

6月17日の参議院本会議で自民・公明の賛成多数で可決され成立しました。

今回の改正で、5年後の2020年(平成32年)に電力会社の発送電分離が行われることが盛り込まれました。

しかし、普通に電気を使っているだけではなかなかイメージしにくいこの発送電分離。

発送電分離は何のために行われて、何が変わるのか、発送電分離を知るための4つのポイントを特集しました。

 

そもそも発送電分離とは?

現在、小売の電力を供給しているのは、東京電力や関西電力など、全国10個に分割された電力会社(一般電気事業者)です。

これらの電力会社の小売事業は大きく3つに分かれます。「発電事業」「送配電事業」「小売販売事業」です。

 

3つの事業

 

発電事業

発電事業はその名の通り発電を行う事業です。火力発電や原子力発電、再生可能エネルギーをうまく組み合わせて、安定した電気供給が行わるように常に需要予測をしながら発電量を調整します。

 

送配電事業

発電でつくられた電気は高圧に直されて送電されます。その後、一般家庭で使える低圧の電気に変電されて、配電されていきます。

 

小売販売事業

一般家庭と契約を結び、必要な量の電気が配電されるように調整します。また、検針や集金などの顧客サービスもこの事業に含まれます。

 

このように電力会社は3つの事業を行っています。今回の発送電分離はこの3つの事業を分離させるということです。

今は一つの会社に集約されているこれらの事業をそれぞれ別会社にしてしまうのです。

 

なぜ発送電分離が必要なのか?

では、今は一つの会社の中で完結していても問題のない3つの事業をわざわざ分離するのはどうしてなのでしょうか。

 

自由化と発送電分離

「自由化」が関係しています。

1995年に、発電市場が自由化されました。

卸電力市場が創設され、発電した電気を市場で売ることができる制度が整えられました。

そして、2016年には小売市場が完全に解放されます。

小売販売事業において競争が始まります。

しかし、送配電事業は、国民のインフラにかかわる重要な事業なので、解放されません。

小売販売事業を行う会社は「託送料」と言われる送配電線の使用料金を支払って電気を送ります。

この託送料は一律・公平でなければ、小売販売事業において公正な競争ができなくなってしまいます。

今まで通り、電力会社(一般電気事業者)内の事業として運営されていると、自社にとって有利な事業展開をしてしまう危険性があります。

それを避けるために、今回の改正電気事業法では、配送電部門の分社化をわざわざ明記したのです。

 

発送電分離で変わってしまうことは?

配送電分離の理論は理解いただけたかと思います。

しかし、この配送電の分離によって一般の消費者にはどのような変化がもたらされるのでしょうか。

 

品質や安全性は何も変わりません

この発送電分離は電力小売自由化のためのシステム構築の一環です。

そのため、この発送電分離によって電気消費の仕方が変わることは全くありません。

今までの電力会社のⅠ部門が分社化されるだけなので、品質が変わることはまずありません。

強いて言えば、送配電会社をまとめる第三者機関が設立される可能性があるという事です。

より安定した電力供給を行うための組織になりますが、普通に電気を消費している限り変化はないでしょう。

 

値段が上昇する可能性が少々

配送電の別会社を設立することによって、少し値段が上昇してしまう可能性があります。

海外の例を見てみると発送電分離を行った結果電気料金が少し上昇してしまった例があるからです。

次の項目で見てみましょう。

 

発送電分離をした国が歩んだ道

電力小売市場の自由化は日本以外の国でも行われています。

これらの国の中には電力自由化に合わせて発送電の分離を行った国もあります。

発送電分離を行った国と行っていない国を少し比較してみましょう。

アメリカ

アメリカは州ごとに法律が違います。発送電分離を行った州と行わなかった州では少し差があるようです。発送電分離をした州の例を見てみましょう。

 

アメリカの発送電分離

 

このように配送電市場も自由化されたために300社以上が参入しました。託送料金を自由に決定できる市場となりました。その結果、電気料金が上昇してしまいました。日本の場合、配送電事業に新規事業者が参入することはないので、アメリカのような形で値段が上昇することはないといえるでしょう。

 

ヨーロッパ

ヨーロッパは、発送電分離を行った国と行わなかった国があります。

イギリスやイタリアでは徹底した発送電分離が行われた結果電気料金が微増しました。

一方で、発送電一貫体制を許容しているフランス・ドイツでは料金の変化はほとんどなかったと言われています。

 

このように、発送電分離を行う事によって電気料金が上昇してしまう可能性があります。

ただし、完全に日本と同じ形での発送電分離や電力自由化を行った国はないので、日本の電気がどのような道をたどるのかまだ分からないというのが現状です。